練馬区立美術館に足を運び、「生誕110年・香月泰男展」を鑑賞。
「シベリア・シリーズ」は、中学生のときに山口県立美術館ではじめて接していらい繰り返し観ているのだけれど、そのたびに発見がある。
土を固めたようなマチエールは、ヨーロッパの石の文化から触発されたものでもあったのだなと実感する。そして過酷な抑留体験を終わらせるためだった「シベリア・シリーズ」に香月自身が塗りこめられてしまい、脱却のかわりに成熟をもたらした。
2016年に平塚市美術館で開かれた「香月泰男と丸木位里・俊、そして川田喜久治」展には行くことができず、図録をあとで手に入れた。たしかに表面のディテールが切実な意味を持ったという点で、この4人に共通するところがある。図録には映画監督の小栗康平が次のように書いていて、あらためて共感した。
「世界を変形して受け止めざるを得ないほどの精神の歪み、受苦があってそれが発露する。香月の抽象は、そうした臆した時間を費やしている。それが香月のよさだ。」
●香月泰男
『香月泰男・追憶のシベリア』展(2011年)
工藤敏樹『祈りの画譜 もう一つの日本』(1972年)
高松市美術館、うどん