若林正丈『台湾の半世紀』(筑摩選書、2023年)。
研究者が自身の研究活動における実感とともに振り返る台湾の半世紀。
とくに李登輝の評価が興味深い。結果的には蔣経国から権力継承されたとはいえ、外省人エリートからすればかれは本省人の従属エリートに過ぎなかった。李登輝は司馬遼太郎との対談で「台湾人として生まれた悲哀」という発言をしたというが、その極めて難しいポジションは戦時からつながる台湾のアンバランスさを象徴するものだったのかもしれない。
そして陳水扁はさらにその先をいった。民進党からはじめて総統に選出された陳は、本省人で貧農の家の出身、猛勉強してエリート層に入ったという「戦後台湾の子」。それゆえに、「国民党の体制側の人物たちからみれば、強烈な台湾なまりの「国語」を話す、まったくのアウトサイダー・エリートだったのである」と。
今月には蔡英文のあとを継いで頼清徳が総統就任。
●参照
新井一二三『台湾物語』
何義麟『台湾現代史』
丸川哲史『台湾ナショナリズム』
佐谷眞木人『民俗学・台湾・国際連盟』
黄銘正『湾生回家』
ウェイ・ダーション『セデック・バレ』
侯孝賢『非情城市』
Sakurazaka ASYLUM 2013 -TAIWAN STYLU-
デイヴィッド・ダーリング+ウールー・ブヌン『Mudanin Kata』
Panai『A Piece of Blue』、Message『Do you remember the days when we could communicate with ...』
趙暁君『Chinese Folk Songs』二二八国家記念館、台北市立美術館、順益台湾原住民博物館、湿地、朋丁、關渡美術館(、当代芸術館)