川下直広+栗田妙子『11.25 & 27@バレルハウス』(2019年)。いつかこのデュオを観たいものだと思っていたのだけれど、思いがけず聴く機会があった。
Naohiro Kawashita 川下直広 (ss, harmonica)
Taeko Kurita 栗田妙子 (p, melodica)
川下直広さんのサックスは、グループで濁流をどどどと創り出すときも好きだが、ソロもまた良い。歌の間があって、ソロではそれが相互作用に消費されるのではなく、ブロウと地続きの音として提示される。聴く者は音と間とを自分の呼吸とシンクロさせなければならず、そのために、演奏者も聴く者も内省的になるのだと言える。
それではデュオはどうかと聴いてみれば、また違うことがわかる。サウンドのために奉仕するのはグループと同じだろうけれど、相手にも聴き手にも同じように接している感があって、言ってみれば、内省と親密の両方があるように思える。
川下さんのソプラノサックスは吹いたあとの尻尾のヴィブラートがその場のあれこれを拾って、聴く者は猫じゃらしを凝視する猫のようになってしまう。栗田妙子さんはわりと淡々と弾いているのだが、きっと対話を楽しむのと同様に含み笑いをしているにちがいない。そのような音のありようである。対話だからもたれ合いもあって(「It Don't Mean A Thing」とか)、それがまた親密さの音で愉しい。
●川下直広
波多江崇行+川下直広+小山彰太(Parhelic Circles)@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2018年)
原田依幸+川下直広『東京挽歌』(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
波多江崇行+川下直広+小山彰太『Parhelic Circles』(2017年)
川下直広@ナベサン(2016年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
沖至『夜の眼』(2015年)
渡辺勝+川下直広@なってるハウス(2015年)
川下直広『Only You』(2006年)
川下直広『漂浪者の肖像』(2005年)
川下直広+山崎弘一『I Guess Everything Reminds You of Something』(1997年)
『RAdIO』(1996, 99年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年)
●栗田妙子
伊藤匠+細井徳太郎+栗田妙子@吉祥寺Lilt(2018年)