Sightsong

自縄自縛日記

松本ちはや+武田理沙@なってるハウス

2020-06-26 19:45:53 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2020/6/25)。コロナ禍に加えひと月の入院もあって、ライヴに行くことが実に久しぶりである。

Chihaya Matsumoto 松本ちはや (perc)
Risa Takeda 武田理沙 (key, synth, p)

単体の打音を疾走につなげつつ(カホンを踵で蹴りながら叩くなんて)、発散によって個々の音を際立たせもするパーカッション。敢えて音を分離させずノイズにしていく過程も、最初からオーシャンドラムやレインスティックでノイズを発生させる過程もある。

一方、武田さんの、流麗なピアノと叫び暴れるキーボードとのためらいのない連続性もまたいい(垣根がまるでないことに驚く)。目の前の楽器を操っているのにサウンドが斜め上から攻めてきて目が醒める。

このふたりがノイズ方面を向いたり、ノイズからの音の分離に注力したり。彩度を高めたり、濁らせたり。互いの出す音にシンクロしながらもそれぞれがやりたいようにやっているようなデュオで、とてもおもしろい。ソロとデュオを有機的に組み合わせた音も聴いてみたいなと思った。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●松本ちはや
李英姿『Beyond』(2019年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
謝明諺+レオナ+松本ちはや@Bar subterraneans(JazzTokyo)(2019年)
松本ちはや『Liddell two Apple Kuchen』(JazzTokyo)(2018年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)

●武田理沙
mn+武田理沙@七針(2019年)
武田理沙『Pandora』
(2018年)


松本ちはや『Liddell two Apple Kuchen』(JazzTokyo)

2020-06-26 19:33:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

JazzTokyo誌に、松本ちはや『Liddell two Apple Kuchen』(2018年)のレビューを寄稿した。

>> #1985 『松本ちはや / Liddell two Apple Kuchen』

●松本ちはや
李英姿『Beyond』(2019年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
謝明諺+レオナ+松本ちはや@Bar subterraneans(JazzTokyo)(2019年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)


神田綾子+森順治@横濱エアジン(JazzTokyo)

2020-06-26 19:25:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

横濱エアジンにおける神田綾子・森順治デュオ動画配信のレビューを、JazzTokyo誌に寄稿した(2020/5/16)。

>> #1129 神田綾子+森順治

Ayako Kanda 神田綾子 (voice)
Junji Mori 森順治 (bcl, as, fl)

Fuji X-E2、XF60mmF2.4、7Artisans 12mmF2.8

●神田綾子
神田綾子+北田学@渋谷Bar Subterraneans(動画配信)(2020年)

●森順治
Meg with Reed Dukes@武蔵境810 Outfit Cafe(2019年)
Ten meeting vol.2@阿佐ヶ谷天(フローリアン・ヴァルター)(2018年)
松風M.A.S.H. その3@なってるハウス(2018年)
松風M.A.S.H. その2@なってるハウス(2017年)
鳥の未来のための螺旋の試み@ひかりのうま(2017年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
松風M.A.S.H.@なってるハウス(2017年)
林ライガ vs. のなか悟空@なってるハウス(2017年)
リアル・タイム・オーケストレイション@Ftarri(2016年)
森順治+高橋佑成+瀬尾高志+林ライガ@下北沢APOLLO(2016年)
本多滋世@阿佐ヶ谷天(2016年)
M.A.S.H.@七針(2016年)
森順治+橋本英樹@Ftarri(2016年)
M.A.S.H.@七針(2015年) 


『封印~沖縄戦に秘められた鉄道事故~』

2020-06-26 07:17:32 | 沖縄

NNNドキュメント'20の『封印~沖縄戦に秘められた鉄道事故~』(2020/6/21放送)を観る。

この鉄道とは、1914年から44年まで運営されたケービンこと沖縄県営鉄道の軽便鉄道である(番組では日本語読みを意識したのか主に「けいべん」と発音されていた)。起点はいまの県庁前の那覇バスターミナルにあり、北への嘉手納線、東への与那原線、南への糸満線の3本が走っていた。当時からあった「仲島の大石」は5年前のバスターミナル改築時に撤去されているのだが、その工事の際に、鉄道の向きを回転して変える「転車台」跡が出てきたという。ここで当時を知る方として登場するのが金城功さん。『ケービンの跡を歩く』(ひるぎ社おきなわ文庫、1997年)の著者である(なぜ金城さんも「けいべん」と発音するのだろう)。

ここから何人もの方が登場し、1944年12月11日に起きた鉄道爆発事故について貴重な記憶を証言する。公式な記録は『那覇市史』にしか残されておらず(新聞にも書かれなかった)、それは事故直後から日本軍によって箝口令が敷かれたからだった。同年8月に対馬丸が、また前年12月に湖南丸が米軍により撃沈され、戦争遂行のため情報が出ないよう強制されたように(大城立裕『対馬丸』)。

このドキュメンタリーによれば事故は以下の通りであった。

○犠牲者は221人(『那覇市史』)。うち軍人210人、女学生8人(生存2人)、県鉄職員3人(生存1人)。これは過去最多の犠牲者を出した鉄道事故とみなされてきた西成線脱線火災事故(1940年)の189人を上回る。
○軽便は1943年頃から軍事利用が優先され、一般人はほとんど乗ることができなかった。
○事故が起きた場所は糸満線の稲嶺駅近く、1944年12月11日の15時半~16時半頃。
○6両編成で150人の兵隊を乗せ、嘉手納駅を出発して嘉手納線で南下。那覇駅近くの古波蔵駅で2両が追加され、糸満線に乗り入れてさらに南下する途中のこと。
○煙突から火の粉が出て、それが無蓋車のドラム缶のガソリンに引火し、それが弾薬にも燃え移り、一気に爆発が連鎖した。沿線のさとうきび畑には沖縄戦に備えて弾薬が野積みしてあり、それらも爆発した。積んであった医療品は吹き飛ばされ、巨樹が真っ白になった。なお無蓋車に弾薬を積むことは軍の規制に違反していた。
○100メートルほど先の集落(南風原町神里地区)に人の肉や骨が吹き飛んできた。「戦争が始まった」と勘違いした住民もいた。なお同集落の駐車場には今にいたるまで錆びたレールが放置してあった。
○事故により弾薬等が激減し、「玉砕する他はなき現状」と言った軍の司令官がいた。だがかれも牛島中将と同時(1945年6月22日または23日)に自決した。
○1944年8月の対馬丸撃沈、10月の10・10空襲、1945年4月からの沖縄戦(地上戦)の間に起きた事故であった。
○1983年7月に工事現場から軽便の台車が発見された(説明はなされないが宜野湾市立博物館に展示してあるものだろう)。嘉手納線は今も米空軍嘉手納基地の地下にある。

事実が明らかにされていれば、戦争の行方も世論も変わったかもしれない事故である。このことは今に通じる側面を持っている。

●軽便鉄道
辻真先『沖縄軽便鉄道は死せず』(2005年)
金城功『ケービンの跡を歩く』(1997年)

●NNNドキュメント
『南京事件 II』(2018年)
『南京事件 兵士たちの遺言』(2015年)
『ガマフヤー 遺骨を家族に 沖縄戦を掘る』(2015年)
『9条を抱きしめて ~元米海兵隊員が語る戦争と平和~』(2015年)
『“じいちゃん”の戦争 孫と歩いた激戦地ペリリュー』(2015年)
『100歳、叫ぶ 元従軍記者の戦争反対』(2015年)
『日本地図から消えた島 奄美 無血の復帰から60年』(2014年)
大島渚『忘れられた皇軍』(2014年)
『ルル、ラン どこに帰ろうか タンチョウ相次ぐ衝突死』(2013年)
『狂気の正体 連合赤軍兵士41年目の証言』(2013年)
『活断層と原発、そして廃炉 アメリカ、ドイツ、日本の選択』(2013年)
『沖縄からの手紙』(2012年)
『八ッ場 長すぎる翻弄』(2012年)
『鉄条網とアメとムチ』、『基地の町に生きて』(2008、11年)
『沖縄・43年目のクラス会』(2010年)
『風の民、練塀の街』(2010年)
『証言 集団自決』(2008年)
『ひめゆり戦史』、『空白の戦史』(1979、80年)
『毒ガスは去ったが』、『広場の戦争展・ある「在日沖縄人」の痛恨行脚』(1971、79年)
『沖縄の十八歳』、『一幕一場・沖縄人類館』、『戦世の六月・「沖縄の十八歳」は今』 (1966、78、1983年)


金剛督+香村かをり+大由鬼山@包丁処たち花

2020-06-25 14:37:54 | アヴァンギャルド・ジャズ

桜木町の包丁処たち花(2020/5/24)。マスターがジャズ好きで何度もライヴを行っていたとのことだが、残念ながらこの日でお店をたたんでしまった。料理も雰囲気も最高で、もっと早く知っていればよかった。

Susumu Kongo 金剛督 (ts, fl)
Kaori Komura 香村かをり (チャンゴ、チン)
Kizan Daiyoshi 大由鬼山 (尺八)

驚いたのは金剛さんのテナーの柔軟さ。「アリラン」だけでなく香村さんの打楽器を意識してか韓国の音を出していた。香村さんの叩く強弱には惹きつけられるものがあり、また、即興ゆえかサウンドの連続性よりも多彩さを意識しているように思えた。大由さんの衝撃波には発せられるたびに驚かされた。

終わったあと、桜木町駅のこのへんが良いんだ、飲んで行こうとの金剛さんのお誘いもあり、香村さんと3人で太陽ホエール。愉しかった。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●金剛督
Meg with Reed Dukes@武蔵境810 Outfit Cafe(2019年)

●大由鬼山
林ライガ vs. のなか悟空@なってるハウス(2017年)


今野勉『宮沢賢治の真実』

2020-06-25 13:10:19 | 思想・文学

今野勉『宮沢賢治の真実 修羅を生きた詩人』(新潮文庫、原著2017年)。

元テレビ演出家による、謎解き宮沢賢治のような本。途中までは退屈だったのだが(賢治言語のひとつひとつの解読など)、後半になっておもしろくなってきた。

と言ってもここで書くとネタバレになってしまうのでちょっとだけ。真偽についてはこれからゆっくりと。ウフフ。

賢治が特別に気にかけていた人(恋を含め)は、妹のとし子だけだったか。性欲は重要なファクターだったか。賢治やとし子にとっての信仰とは。『銀河鉄道の夜』にタイタニック号事故がどのように反映されたのか。最終稿でなぜブルカニロ博士が消えたのか。カムパネルラは誰だったのか。どこにでも行ける切符とは何だったか。など、など。

●宮沢賢治
『宮沢賢治コレクション1 銀河鉄道の夜』
『宮沢賢治コレクション2 注文の多い料理店』
『宮沢賢治コレクション3 よだかの星』
草野心平『宮沢賢治覚書』
横田庄一郎『チェロと宮沢賢治』
ジョバンニは、「もう咽喉いっぱい泣き出しました」
6輌編成で彼岸と此岸とを行き来する銀河鉄道 畑山博『「銀河鉄道の夜」探検ブック』
小森陽一『ことばの力 平和の力』
吉本隆明のざっくり感


佐野眞一『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』

2020-06-25 10:39:21 | 沖縄

佐野眞一『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』(上下巻)(集英社文庫、2008/11年)。出てからかなりの時間が経ってしまったが、ようやく読んだ。

沖縄ヤクザの戦後史も、それが沖縄空手や実業家たちとかなり密接にかかわっていたことも、ほとんど知られていない。また、沖縄現代史といえば沖縄戦や施政権復帰や基地負担に偏っており、「沖縄財界四天王」(大城組の大城鎌吉、國場組の国場幸太郎、琉球セメントの宮城仁四郎、オリオンビールの具志堅宗精)について「本土」の者が言及することが少ないのもその通りである。知らないことが多く勉強になった。

「大文字」ではなく「小文字」で語る歴史を重視することは良い。また「清濁併せ吞む」ように立場の異なる者との関係を深めていった者たちに「人間らしさ」を見出すのも良い。だが、その結果、なんであれ談合的な政治を行ってきた者たちばかりを評価していることはダメだろう。辺野古についていま読んでみると、著者の見立てが実に甘かったことがよくわかる。

●佐野眞一
佐野眞一『僕の島は戦場だった 封印された沖縄戦の記憶』(2013年)


松本潤一郎『ドゥルーズとマルクス』

2020-06-25 08:52:08 | 思想・文学

松本潤一郎『ドゥルーズとマルクス 近傍のコミュニズム』(みすず書房、2019年)

ドゥルーズ=ガタリは、世界史は必然の結果ではなく、誤謬と偶発性によって、遭遇によって、無数の欄外と余白によって、とらえられるものだとした。その意味で、歴史とは「目的論と必然性から逃走した『プラトー』」であるとした。これがおそらく多くのドゥルージアンを惹きつける特徴である。

それではマルクスはどう位置づけられるのか。ドゥルーズ=ガタリは、マルクスも、資本主義を固定された所与のコードとしてではなく、無数に可能であったかたちのひとつとして認識していたのだと見出していた。「産業宦官」すなわち「暴力を被る対象を生みだしつつその暴力を資本制の前提へと押し上げる国家装置、あるいはあらかじめストックされるものとしてのみ『過剰』と名指したうえで労働を収奪する捕獲装置と相同の暴力を行使する資本主義の『概念的人物』」は、そのひとつに過ぎなかったというわけである。

この「資本主義的公理」から、資本主義内部にありつつどのように逃れるか。本書ではバディウがその「非-部分」について「出来事」と呼んだと指摘する。廣瀬純氏によれば、その「出来事」すなわち革命について、フランス現代思想の面々がそれぞれ異なるとらえ方をしていた。(本書でもこの公理系の「反実現」モデルの探求の手がかりを「革命」と呼んでいる。)

ここでおもしろい点は、ファシズムに対するものとして、すなわち固定的なコード支配に対するものとして、コミュニズムを置いていることである。すなわち、一般性=わかりやすさとは「支配階級または国家に奉仕する知」であり、「物語-襞という脱説明的な叙述(描写)」が諸個人の特異性を支える経験であるのだ、と。

すなわち私たちの可能性は、失敗を通じた想像力の共有にあり、KYにあり、非談合にある。不幸=公理、と極端に言ってしまってもよいのかもしれない。

●参照
ジル・ドゥルーズ+クレール・パルネ『ディアローグ』(1996年)
ジル・ドゥルーズ『フーコー』(1986年)
ジル・ドゥルーズ『スピノザ』(1981年)
ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『千のプラトー』(上)(1980年)
ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『千のプラトー』(中)(1980年)
ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『千のプラトー』(下)(1980年)
ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『アンチ・オイディプス 資本主義と分裂症』(1972年)
フェリックス・ガタリ『三つのエコロジー』(1989年)
アンドリュー・カルプ『ダーク・ドゥルーズ』(2016年)
佐藤嘉幸、廣瀬純『三つの革命 ドゥルーズ=ガタリの政治哲学』
廣瀬純『アントニオ・ネグリ 革命の哲学』
廣瀬純トークショー「革命と現代思想」
吉本隆明『カール・マルクス』
四方田犬彦『マルクスの三つの顔』


アニメ『ゴールデンカムイ』

2020-06-11 09:30:10 | 北海道
明治末期のアイヌ世界を描いた『ゴールデンカムイ』、amazonでのアニメの無料配信が終わってしまうというので慌てて観た。第1クールの第2期まで全24話。札幌などより港町の小樽が栄えていた時代で、開拓民・屯田兵や東北のマタギとの交流もあって、いやおもしろいおもしろい、あっという間。10月から放送の第3期が楽しみ。いろいろネタが散りばめられていて以下備忘録。
【食文化】
鹿、行者ニンニク(アイヌネギ)、カジカ、鮭のルイベ。ラッコの肉って匂いだけで発情するの?(笑)退院したら、大久保のアイヌ料理店ハルコロを再訪することを決定。カジカの旬は冬だろうけれど。不死身の杉元は干し柿が好物だというが、アイヌの少女アシリパはそれを知らない。柿の木は一部をのぞき北海道にはなかった。あっそれからにしんそば。小樽、鰊御殿だもんね。
【音楽】
うたの他に、ムックリ、樺太から持ってきたというトンコリも登場。もちろん現代の安東ウメ子、OKI、マレウレウらにつながる糸を意識。きのうたまたま、東トルキスタンにルーツをもつトルコ生まれ・スイス在住の歌手サーデット・テュルキョズさんとマレウレウのRekpoさんを相互にご紹介したのだけれど、なにかおもしろい展開があれば。。。
【旧政府軍】
箱館戦争で死んだはずの土方歳三が暴れているのにびっくり。サッポロビール創業者の村橋久成の話が出てくるが、彼は新政府軍に従軍した人。土方が敗けたのは悔しいがビールはうまいと口走ったという設定でおもしろい。
【万年筆】(※好きなのだ)
土方が脱獄王白石の顔に万年筆でいたずら書きする場面がある。まだセーラーやプラチナは創業される前、日本橋の丸善は輸入して取り扱っていたはず。キャップに3本線が入っているタイプだけどなにをモデルに作画したのだろう。
【網走監獄】
のちに共産党一斉摘発の三・一五事件(1928年)以降、徳田球一や宮本顕治が収監された過酷なところで、吉村昭の傑作『破獄』もある。この時代はどうなのかと注目したら、やはり政治犯をかなり厳重に監視するとともに、炭鉱労働やケシ栽培などの汚れ役も押し付けていたといった描写。
【歴史】
わたしがアイヌ民族のことを意識したのは本多勝一『先住民族アイヌの現在』(1993年)を読んでからのことで、同時期に故・萱野茂氏がアイヌ初の国会議員になった。そのあとは関連書をときどき読んできたくらいなので、『ゴールデンカムイ』のような作品はイメージが膨らんで良いな。再読したい本は、新谷行『アイヌ民族抵抗史 アイヌ共和国への胎動』(1972年)(第3期以降、少女アシリパがなんらかのシンボルとして利用されそうな予感があるので)、瀬川拓郎『アイヌ学入門』(2015年)、野添憲治『開拓農民の記録』(1976年)(棄民政策としての開拓史を、台湾、樺太、朝鮮、満州だけでなく戦後の千葉や東北などとも同じ視線の中に入れるため)、姫田光義編『北・東北アジア地域交流史』(2012年)(モンゴル帝国と樺太アイヌとの交易に言及)、井上勝生『明治日本の植民地支配』(2013年)(一連のアジア侵略に先立ってアイヌ民族支配が事前検討のようになされていたとの指摘)、その他もろもろ。ずっと読もうと積読の、岡和田晃、マーク・ウィンチェスター編『アイヌ民族否定論に抗する』(2015年)も早く読まないと。それから知里真志保のこと。野田サトルの原作漫画。
【社会見学先】(※エンドロールに出てきた先+α)
博物館網走監獄、小樽市総合博物館、平取町立二風谷アイヌ文化博物館、アイヌ民族博物館、萱野茂二風谷アイヌ資料館、月形樺戸博物館、野外博物館北海道開拓の村、小樽文学館(小熊秀雄、小林多喜二)、北大旧理学部博物館。