「米軍統治下の「島ぐるみ闘争」から現在の沖縄を逆照射する」と題したイベントを開催しました(2024/10/27、神保町月花舎)。
『米軍統治下での「島ぐるみ闘争」における沖縄住民の意識の変容』を上梓した村岡敬明さん(大和大学准教授)による研究内容の紹介。特定のスタンスに依ることなく膨大な一次資料を分析し「ナマの声」を蘇らせるアプローチです。それから西脇尚人さん(沖縄オルタナティブメディア)と自分を交えたトーク。たとえば次のような話題が興味深いものでした。
● 沖縄の「反復帰派」は決して少数ではなかったこと。現在の独立派へとつながる流れがあること。
●沖縄問題を語るときの当事者性。「~から問う」とのテーマ設定には主語も目的語も不在であり、「沖縄に寄り添う」という常套句には欺瞞があること。生活権・生存権を脅かされる者以外の当事者とは何者なのか。アイデンティティ・ポリティクスとは。
●「オール沖縄」という組織化に対する評価、それをめぐる言説。
●辺野古から高江に運動がどのように受け継がれていったか。
●米軍基地返還を妨げる台湾問題というアキレス腱。
【参照した資料】
川名晋史『在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史』(中公新書、2024年)
金成隆一『ルポ トランプ王国2——ラストベルト再訪』(岩波新書、2019年)
古波藏契『ポスト島ぐるみの沖縄戦後史』(有志舎、2023年)
駒込武・編『台湾と沖縄 帝国の狭間からの問い——「台湾有事」論の地平を越えて』(みすず書房、2024年)
西脇尚人「沖縄の新聞を読む◆中 代表制の矛盾を突く」(『沖縄タイムス』、2015年4月8日)
西脇尚人「高橋哲哉氏への応答—県外移設を考える」(上、中、下)(『沖縄タイムス』、2016年3月15~17日)
村岡敬明『米軍統治下での「島ぐるみ闘争」における沖縄住民の意識の変容』(大学教育出版、2024年)
森啓輔『沖縄山原/統治と抵抗 戦後北部東海岸をめぐる軍政・開発・社会運動』(ナカニシヤ出版、2023年)
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専門家・有識者と素人(これは自分)とがことばを同じテーブル上に広げる試み、頼りにするのはことばへの誠実さと知性。ちょっと続けてみたいと思っています。