近江八幡市の酒游館(2019/10/27)。
日本天狗党:
Tobio Akagi 赤木飛夫 (as)
Houhi Suzuki 鈴木放屁 (ts)
Kenichi Akagi 赤木憲一 (ds)
After It's Gone:
Homei Yanagawa 柳川芳命 (as)
Meg Mazaki (ds)
Kazunori Inoue 井上和徳 (ts)
隣人(Ring-Jing):
Raguno Miyabe 宮部らぐの (g)
Barabara Komatsu 小松バラバラ (咆哮)
Meg Mazaki (ds)
セッション: 以下のふたりが加わる
Toshihiro Yokoi 横井俊浩 (as)
Nozomu Matsubara 松原臨 (as)
近江八幡の駅近くで昼食を取り、そこからしぶい街をしぶいしぶいと呟きながら歩いているとあっという間に酒游館。赤木飛夫さんに出くわして安心した。Megさんはえっ歩いてきたんですかと笑っていた。腰の具合はだいぶ良くなったということだった。
はじめは「After It's Gone」。柳川芳命さんとMegさんは「Hyper Fuetaico」や「Heal Roughly」でデュオシリーズを展開してきた。今回は「After It's Gone」にテナーの井上和徳さんを加えた形である。はじめて聴く井上さんは低音も活かしつつ、その音色からは陽の部分を感じる。柳川さんは小刻みな音も流れるような音も吹く。決して表面的に過激でもエキセントリックでもなく、むしろ抑制されたところも大きいのだが、常に柳川さんのアルトは底からの恐ろしさを覚える。以前はアジアのブルースだと思っていた。その印象は変わらないが、それはことさらに感情を暴発させるブルースではない。対面して話すときに、穏やかなのに威圧される感覚と同じである。
Megさんはバスドラやハットを連打し、タイコを叩くときも両手で力をその瞬間に集中させる。それを左右に振らせまくる。以前はフリーフォールのようなドラムスだなと思っていたのだが、今回は円環を感じた。腰を痛めたこともあるのかと訊いてみたが、ほとんど治り椅子を高くしたくらいだ、という。
二番手は隣人。ひとりサン・ラのようなバラバラさんの挙動が気になって仕方がない(なぜか下は脛を出してスクールシューズを履いているのだが、あとで訊くと予算不足だと答えた)。それはともかく、バラバラさんの咆哮は奇妙に肉感的で、それゆえに逃げ場がない感覚で、眼だけでなく耳も貼りついてしまう。Megさんのドラムスは先とはちょっと違ってカラフルな要素もあり、それはサックスのブロウに拮抗しないからでもあった。そして宮部さんのギターは、重力を感じさせ、ドラムス的でもあった。Megさんは前に出てきてシンバルを床に叩きつけ、この奇妙な渦を裂いた。
三番手は日本天狗党。まずは鈴木放屁さんのテナーぶっ放しにのけぞる。わかってはいてものけぞる。そのあとも巨大なナタを振り回すがごとき危険極まりないテナーである。赤木飛夫さんのアルトは実に圧が強く、実に艶やかである。赤木憲一さんはバスドラを連打し、この強力なふたりに立ち向かう。三者によるエネルギーとしか言いようのない音楽。それがずっと続けられ、気がつくと頭が朦朧として異世界を旅している。脳内の何かが一掃されているような錯覚を覚える。
続いてジャムセッション。
1. 宮部+柳川
2. 井上+横井+赤木憲一
3. 鈴木+バラバラ
4. 赤木飛夫+松原+Meg
それぞれに見ごたえがあった。横井さんは端正にフレーズを吹き濁流の中に入っていく感覚。松原さんは艶々したアルトで自分の周りに力技で時空間を拓く感覚。
終わってから、うまい酒と食べ物。琵琶湖のわかさぎ、鮎、赤蒟蒻、冬瓜、いちいちうまい。日本酒は翌朝頭痛になるので抑えめにしようと思っていたが、愉しくてやはり飲み過ぎた。しかし川島誠さんもMegさんも言ったとおり、まったく翌朝残っていなかった。
ところで、この12月下旬に、日本天狗党の赤木飛夫さんと鈴木放屁さん、それから赤木憲一さんが不都合なのでMegさんが入って東京でライヴを演るそうである。思いついたので「日本天Meg党」が良いと進言した。実現するかな。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4、7Artisans 12mmF2.8
●日本天狗党
Sono oto dokokara kuruno?@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
第三回天下一Buzz音会 -披露”演”- @大久保ひかりのうま(2017年)
●柳川芳命、Meg
柳川芳命+Meg Mazaki『Heal Roughly Alive』(2018年)
柳川芳命+Meg『Hyper Fuetaico Live 2017』(JazzTokyo)(2017年)
Sono oto dokokara kuruno?@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
柳川芳命『YANAGAWA HOMEI 2016』(2016年)
柳川芳命+ヒゴヒロシ+大門力也+坂井啓伸@七針(2015年)
柳川芳命『邪神不死』(1996-97年)
柳川芳命『地と図 '91』(1991年)