Sightsong

自縄自縛日記

多木浩二『未来派 百年後を羨望した芸術家たち』

2021-06-28 07:57:25 | アート・映画
多木浩二『未来派 百年後を羨望した芸術家たち』(コトニ社、2021年)
 
いきなりイタリア未来派の本。しかも多木浩二のテキスト、読まないわけにはいかない。「なぜいま」かと言えば、未来派の中心人物マリネッティが『未来派』を書いてから百年あまり。かれらが羨望した世界などとうに過ぎ去っているし、政治との添い寝や工業からの逆襲なども体験済み。それだけに、この運動を振り返ることがおもしろいのだと思えた。
分析や情報の内容としては、ティズダルとボッツォーラによる『未来派』のほうが充実しているけれど、ここには多木浩二の視線という大きな価値がある。
ところでむかしミラノに行ったとき未来派の作品を観ようと思って観光センターで尋ねたところ、常設の美術館はないとの答え。がっかりして画集を買って帰った。
結局、未来派の作品をまとめて観ることができたのは、2014年にNYのグッゲンハイム美術館で開かれた「イタリア未来派1909-1944」だけ。いいタイミングだし日本でもなにかやらないのかな。
 
 

徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その3)

2021-06-27 23:16:03 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2021/6/27)。

Masahide Tokunaga 徳永将豪 (as)
Fumi Endo 遠藤ふみ (p)

このデュオは3回目であり、前回と同様に、「曲」に基づいている(ファースト・遠藤、セカンド・徳永)。両者ともにスマホをストップウォッチとして使い、なんらかのルールを「曲」として演奏しているようである。終演後にちらりと徳永さんの書いたものを見たところでは、ヨガにも通じる呼吸のありようが意識されていた。

ファーストセットでは、アルトの連続音が状況、ピアノの減衰音(のはじまり)が事件として響いた。ふたりとも音を選び、その過程が静寂や残響を含めた独特のサウンドとなっていた。遠藤さんの鍵盤の摩擦音も際立って伝わってきた。セカンドでは徳永さんは音量のレンジも振幅も大きく取り、重層的な音色を提示した。それに重なるピアノのありようは、大きな空間で響くファーストのそれとは違っていた。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●徳永将豪
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その2)(2021年)
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)
田上碧+徳永将豪+松本一哉@Ftarri (2019年)
Hubble Deep Fields@Ftarri(2019年)
高島正志+竹下勇馬+河野円+徳永将豪「Hubble Deep Fields」@Ftarri(2018年)
森重靖宗+徳永将豪@Ftarri(2018年)
Zhu Wenbo、Zhao Cong、浦裕幸、石原雄治、竹下勇馬、増渕顕史、徳永将豪@Ftarri(2018年)
高島正志+河野円+徳永将豪+竹下勇馬@Ftarri(2018年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+徳永将豪+増渕顕史+中村ゆい@Ftarri(2017年)
Shield Reflection@Ftarri(2017年)
窓 vol.2@祖師ヶ谷大蔵カフェムリウイ(2017年)
徳永将豪『Bwoouunn: Fleeting Excitement』(2016、17年)
徳永将豪+中村ゆい+浦裕幸@Ftarri
(2017年) 

●遠藤ふみ
かみむら泰一+古和靖章+遠藤ふみ+阿部真武@神保町試聴室(2021年)
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(その2)(2021年)
本藤美咲+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)
徳永将豪+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)
池田陽子+遠藤ふみ@Ftarri(2021年)


松風鉱一@本八幡cooljojo

2021-06-24 22:08:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のcooljojo(2021/6/19)。

Koichi Matsukaze 松風鉱一 (as, ts, fl)
Takayuki Kato 加藤崇之 (g)
Yoshinori Shimizu 清水良憲 (b)
Kenkichi Domoto 堂本憙告 (ds)

加藤さんのエフェクターがなんということもなく音を出しはじめ、松風さんは飄々と「始まってる?」と。フルートによる「Lifetime Blues」はそんなふうにはじまり、腕を痛めている加藤さんは逆にそれを活かして斬るようなプレイ。それだけでなく缶を使って遊んだりもして、松風さんのグループにおける加藤さんの自由さにはいつも笑ってしまう。

松風さんは、ちょっと詰まったようなテナーも、「Outside」なんかでのからりと抜けたアルトもとても良い。演奏後、松風さんはジャズを演るなら16ビートも8ビートも通過してはじめてカッコよさに気づかないとなと話していたのだが、この曲はそのことを感じさせるものでもあった。

テナーは比較的ささくれた音色で、それだけに、「Big Valley」などにおいて、フラットに空間を埋め尽くすアドリブにはわかっていても感嘆する。アルトはときに鼓膜に突き刺さるようでもある。

最後はテナーで十八番の「w.w.w.」。お見事のひとこと。加藤さんはガラスのような高い音で暴走しこれもまたおもしろかった。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmf2.8、XF60mmF2.4

●松風鉱一
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2021年)
宅Shoomy朱美+松風鉱一+藤ノ木みか@なってるハウス(2020年)
松風鉱一+上村勝正+石田幹雄@本八幡cooljojo(2020年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2020年)
夢Duo年末スペシャル@なってるハウス(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
平田王子+渋谷毅『Luz Do Sol*やさしい雨』(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年その2)
松風鉱一カルテット@西荻窪Clop Clop(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年その1)
松風M.A.S.H. その3@なってるハウス(2018年)
今村祐司グループ@新宿ピットイン(2017年)
松風M.A.S.H. その2@なってるハウス(2017年)
松風M.A.S.H.@なってるハウス(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
5年ぶりの松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2013年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2008年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
板谷博ギルティ・フィジック(1990、95年)
松風鉱一『Good Nature』(1981年)
松風鉱一トリオ+大徳俊幸『Earth Mother』(1978年)
『生活向上委員会ライブ・イン・益田』(1976年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
森山威男『SMILE』、『Live at LOVELY』 
反対側の新宿ピットイン
くにおんジャズ、鳥飼否宇『密林』


独自でありたいという表現者の矜持 追悼・橋本孝之さん(JazzTokyo)

2021-06-23 10:26:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

>> 独自でありたいという表現者の矜持 追悼・橋本孝之さん

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●橋本孝之
ピーター・コロヴォス+川島誠+内田静男+山㟁直人+橋本孝之@千駄木Bar Isshee(2019年)
マーティン・エスカランテ、川島誠、UH@千駄木Bar Isshee(2019年)
組原正+橋本孝之+鷲見雅生、内田静男@七針(2019年)
フローリアン・ヴァルター+直江実樹+橋本孝之+川島誠@東北沢OTOOTO(2018年)
山本精一+橋本孝之@大久保ひかりのうま(2018年)
#167 【日米先鋭音楽家対談】クリス・ピッツィオコス×美川俊治×橋本孝之×川島誠
特集 クリス・ピッツィオコス(2017年)
Psychedelic Speed Freaks/生悦住英夫氏追悼ライヴ@スーパーデラックス(2017年)
第三回天下一Buzz音会 -披露”演”- @大久保ひかりのうま(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)
橋本孝之『ASIA』(JazzTokyo)(2016年)
グンジョーガクレヨン、INCAPACITANTS、.es@スーパーデラックス(2016年)
.es『曖昧の海』(2015年)
鳥の会議#4~riunione dell'uccello~@西麻布BULLET'S(2015年)
橋本孝之『Colourful』、.es『Senses Complex』、sara+『Tinctura』(2013-15年)


『Total Knock Out Orchestra』(JazzTokyo)

2021-06-23 10:20:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

『Total Knock Out Orchestra』(2020年)

>> #2087 『Total Knock Out Orchestra』

Total Knock Out Orchestra:
Yuta Yokoyama 横山祐太 (trumpet)
Shoji Sugawara 菅原昇司 (trombone)
Yoshiyuki Tsubota 坪田佳之 (tuba)
Yoshinori Okuno 奥野義典 (alto sax)
Nonoko Yoshida 吉田野乃子 (alto sax)
Kim Yooi キムユウイ (tenor sax)
Hirotaka Takeuchi 武内宏峰 (baritone sax)
Yoshiaki Ikeda 池田伊陽 (guitar)
Hiroe Nakajima 中島弘惠 (piano)
Yasuhiko Tachibana 立花泰彦 (bass)
Shota Koyama 小山彰太 (drums)


照内央晴+喜多直毅@本八幡cooljojo

2021-06-23 08:38:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のcooljojo(2021/6/13)。

Hisaharu Teruuchi 照内央晴 (p)
Naoki Kita 喜多直毅 (vln)

8度目のライヴとなったデュオ。はじめは意外に思えたけれど、いまではそれぞれが自身の音をためらいなく出すことができる緊張関係のように思えるから不思議なものである。

ファーストセットはヴァイオリンの絶え間なく軋み揺れる音から入り、ピアノがその波間に灯りを置いていくように重なりが作られた。ヴァイオリンが重層的になるのと並行してピアノが重くなってゆく。そしてヴァイオリンがマージナルな領域へと進み、ピアノが轟音へと進む。この音世界を抜けるとそれまでが狂気であったように別の世界がみえる。ヴァイオリンが音を上に飛ばすとピアノも浮力を得る。

セカンドセットは逆にピアノの和音からはじまり、ヴァイオリンがそれを受けて震えるうたを導入する。ふたりの音は横方面の振幅を強め、さらに縦横に激しく動いた。ここで珍しく照内さんが鍵盤の左右から真ん中へと攻め、黙ると、喜多さんがプリペアドによりあてどない響きを寂しく残した。沈静から復活へ、ふたりのエネルギーはゆりかごのように放たれ、そしてまた前進。ヴァイオリンは指から弓へと振幅の大きさをみせ、ピアノは泥流から光の明滅へと変わる。やがてファンタジックな世界の共有があり、それは突然破られた。だが照内さんは終わりを惜しむように鍵盤に指を走らせた。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●照内央晴
豊住芳三郎+照内央晴+吉田つぶら@山猫軒(2021年)
照内央晴+柳沢耕吉+あきおジェイムス+本藤美咲@なってるハウス(2021年)
照内央晴+喜多直毅@本八幡cooljojo(2020年)
豊住芳三郎+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2020年)
藤山裕子+照内央晴+吉田隆一+吉田つぶら@なってるハウス(2020年)
吉田達也+照内央晴@荻窪Velvet Sun(2020年)
豊住芳三郎+照内央晴@山猫軒(2020年)
庄子勝治+照内央晴@稲毛Candy(2020年)
松本一哉+照内央晴+吉本裕美子@水道橋Ftarri(2020年)
照内央晴+加藤綾子@本八幡cooljojo(2020年)
神保町サウンドサーカス(直江実樹+照内央晴、sawada)@神保町試聴室(2020年)
豊住芳三郎+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2020年)
千野秀一+照内央晴@渋谷公園通りクラシックス(2019年)
奥田梨恵子+照内央晴@荻窪クレモニア(2019年)
豊住芳三郎+コク・シーワイ+照内央晴@横濱エアジン(2019年)
照内央晴+加藤綾子@神保町試聴室(2019年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴@なってるハウス(2019年)
豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)(2019年)
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2019年)
吉久昌樹+照内央晴@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2019年)
照内央晴、荻野やすよし、吉久昌樹、小沢あき@なってるハウス(2019年)
照内央晴+方波見智子@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+吉本裕美子+照内央晴@高円寺グッドマン(2018年)
照内央晴+川島誠@山猫軒(2018年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2018年)
『終わりなき歌 石内矢巳 花詩集III』@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2018年)
Cool Meeting vol.1@cooljojo(2018年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴+方波見智子+加藤綾子+田中奈美@なってるハウス(2017年)
ネッド・マックガウエン即興セッション@神保町試聴室(2017年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)
照内央晴「九月に~即興演奏とダンスの夜 茶会記篇」@喫茶茶会記(JazzTokyo)(2016年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)

●喜多直毅
照内央晴+喜多直毅@本八幡cooljojo(2021年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2020年)
喜多直毅+元井美智子+西嶋徹@本八幡cooljojo(2020年)
喜多直毅+元井美智子+久田舜一郎@松本弦楽器(JazzTokyo)(2020年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+内橋和久@下北沢Apollo(2019年)
ハインツ・ガイザー・アンサンブル5@渋谷公園通りクラシックス(2019年)
喜多直毅+西嶋徹『L’Esprit de l’Enka』(JazzTokyo)(-2019年)
宅Shoomy朱美+北田学+鈴木ちほ+喜多直毅+西嶋徹@なってるハウス(2019年)
喜多直毅+元井美智子+フローリアン・ヴァルター@松本弦楽器(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
喜多直毅+翠川敬基+角正之@アトリエ第Q藝術(2019年)
熊谷博子『作兵衛さんと日本を掘る』(2018年)
喜多直毅クアルテット「文豪」@公園通りクラシックス(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(2018年)
ファドも計画@in F(2018年)
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)
黒田京子+喜多直毅@中野Sweet Rain(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
喜多直毅クアルテット@求道会館(2017年)
ハインツ・ガイザー+ゲリーノ・マッツォーラ+喜多直毅@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
喜多直毅クアルテット@幡ヶ谷アスピアホール(JazzTokyo)(2017年)
喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器(2017年)
喜多直毅+田中信正『Contigo en La Distancia』(2016年)
喜多直毅 Violin Monologue @代々木・松本弦楽器(2016年)
喜多直毅+黒田京子@雑司が谷エル・チョクロ(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)http://www.jazztokyo.com/best_cd_2015a/best_live_2015_local_06.html(「JazzTokyo」での2015年ベスト)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
寺田町の映像『風が吹いてて光があって』(2011-12年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年) 


細田茂美+神田綾子@高円寺グッドマン

2021-06-18 08:39:41 | アヴァンギャルド・ジャズ

高円寺のグッドマン(2021/6/12)。

Shigeyoshi Hosoda 細田茂美 (g)
Ayako Kanda 神田綾子 (voice)

少し前にキュノポリス(鎌田雄一+細田茂美)のライヴに神田綾子さんがゲストで加わったとき、じゃあ次は細田さんと神田さんのデュオだと一瞬で決まった。そのときわたしは、また観にくるので<私だけの十字架>を歌ってほしいと伝えた。

やはりグッドマンならではのリラックスした雰囲気であり、細田「じゃあまずソロから演ってよ」、神田「えっ?」。神田さんのソロは放送ノイズのような擦音からはじまり、声、さらに口笛へと移り変わり、なにかの胎動を強く感じさせるものだった。語りとときに苦し気な呼吸がなにものかのライフタイムを凝縮したようにも感じられた。

デュオは細田さんのプリペアドから入った。どこかに拘泥するでもない雰囲気の演奏であり、ともかくも速度を持ったり、それが棄て去られたりして、スピードと響きのクラスターが作られてゆく。蒲鉾板を使った効果が意外にもとても良い。そのクラスターに、神田さんは音領域を敢えて狭めて介入する。ストップ・アンド・ゴー、なんて自由。外のエンジン音も自由演技に参加した。

セカンドでは細田さんソロで<私だけの十字架>(ありがとうございます)、デュオで<黒いオルフェ>、そしてふたたび即興。ふたりが分離してドライに進む局面もあり、また、お互いに執拗に特定のフラグメントを繰り返し出す局面もあった。共存のありようがおもしろいものだった。

会場ではメグロウさんによる「イノスボクスと不思議な生き物」展をやっていて、確かに不思議に興奮させられた。ステッカーを1枚買ってノートパッドの表紙に貼った。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、7 Artisans 12mmF2.8

●細田茂美
キュノポリス@高円寺グッドマン(2021年)

●神田綾子
神田綾子+真木大彰@Permian(2021年)
纐纈雅代+神田綾子@六本木Electrik神社(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
神田綾子+纐纈雅代@下北沢No Room for Squares(2021年)
新年邪気祓いセッション@山猫軒(2021年)
マクイーン時田深山+神田綾子@下北沢No Room for Squares(JazzTokyo)(2020年)
岡田ヨシヒロ@池袋Flat Five(2020年)
神田綾子+森順治@横濱エアジン(JazzTokyo)(2020年)
神田綾子+北田学@渋谷Bar Subterraneans(動画配信)(2020年)


大・タイガー立石展@千葉市美術館

2021-06-12 17:31:54 | アヴァンギャルド・ジャズ
千葉市美術館の「大・タイガー立石展」が最高に愉快。これまで、友人のド・ウーメン氏が案内してくれた有楽町の居酒屋にしまってある大きな衝立に驚いたり、板橋区立美術館所蔵のジョルジョ・デ・キリコのパロディ的な作品に惹かれたりと、限られた作品にしか触れてこなかった。そんなわけでよくわからない巨大な存在だったが、こうして作品をまとめて観てもなおよくわからない存在。すべてのものがぎらぎらと生命力をアピールしている。
《昭和素敵大敵》では古賀春江《海》のパロディ(もとよりこれもコラージュなのだけど)に顔が美空ひばり。つい声を立てて笑ってしまった。不覚。
それにしても、この人が筑豊の出身だったことや、イタリアに渡ってしばらくエットーレ・ソットサスのもとで働いていたことなど、まったく知らなかった。炭鉱も異国の地もすべてエネルギーに転化していたんだな。
せっかくなのでステッカーを買ってきて、メモ帳に貼った。これでさらに有能になった。
 

ふちがみとふなと@西荻窪clop clop

2021-06-08 08:18:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

西荻窪のclop clop(2021/6/6)。

ふちがみとふなと:
Fuchigami Junko 渕上純子 (vo)
Funato Hiroshi 船戸博史 (b)

自然なヴィブラートのある声と柔らかいコントラバスの音との交わりがこれほどに気持ちいいとは。山之口貘へのトリビュート盤『貘』を聴いてからずっとライヴを観たかった。

●参照
マラカイ・フェイヴァースのソロ・アルバム
『週刊金曜日』の高田渡特集