ここ何年かお目にかからなかったお気に入りの映画だ。冒頭の4、5分でもう映像が脳裏にすっと入ってき、ゴキゲンになった。ユーモアを交えたシニカルだがセリフの少なさ、無駄のない映像の決め方、静謐なスタイリッシュ映像から後半はどっとストーリーが動きはじめる。
しかし、映像は最後まで定格に近いほど安定している。こんな映画作家がいたんだ。この映画との出会いが本当に嬉しい限り。
一人の男の閉塞感をこんなスイスの一ホテルでの牢獄のような孤独に表現してしまうなんて、何たってユニークだ。斬新。もう、映像にずっとくぎ付けになってしまいました。
ラストには人生の悲壮感と小さな愛の贈り物がまで用意されていて、実にチャーミングでさえありました。
テーマは辛らつですね。このずっと放たれていた人間の心の叫びをスタイリッシュな映像に惑わされず聞くことが出来ましたか?
拾い物の秀作です。映画ファン、必見の作品です。
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