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きみの友だち (2008/日)(廣木隆一) 85点

2008-08-21 15:04:45 | 映画遍歴
子供の心って、僕のような年寄りはそろそろ忘れて来ているが、時代が変わっても国が変わってもそう変わるものでもあるまい、と思う。この映画を見ていて感じるのは子供の世界も「競争と人間関係」が重きを成していてそれは大人の世界とある意味それほど変わらないものではないか、ということだ。

でも、大人の社会的世界には介在しようもない友情というものが子供の生活には存在するはずだ。ふとしたことから弱者になってしまう主人公の二人。心因性近視になってしまう女友達、上級生だけれどサッカーいまいちの少年、親友が遠いところにいるように見えるが実際はすぐそこにいたと気づく幼なじみの少年。みんな、きみの友だちである。

なかでもラスト近く病室の天井にもこもこ雲が貼ってあったのには号泣してしまう。いろんな雲のショットがあったが、一番素晴らしい。そう、青空だけでは単調すぎる。雲があって初めて雨にもなり、光を制限してくれる。素晴らしい雲、、。

映像的には冒頭からロングショットを多用し、感情をセーブした緊張感が画面を覆う。カットの斬新さなど廣木隆一の演出が冴え渡る。そういえば同テーマでTVドラマの「4TEEN」も秀作で、今でも感動が残っている。廣木隆一は「ヴァイブレータ」路線もいいが、子供のりりしさにもかなり興味を持っている人なんですね。

この映画では直接いじめの話は出なかったが、実際は教室等ではいじめが浮遊しているのだろう。いじめがなければきみたちはもっと純なんだよ。僕も子供の気持ちを思い出し、みんな頑張れ、と思わず心で声を上げてしまっていた。

そして、ぼくには友だちが今でもいるのだろうか、、。そして歳月は経ち、若いあの時の思いはどこに行ったのだろうか、、。きみたちに言いたい。せめて、若いときこそきみの友だちを見つけて欲しい。すぐ、友だちはきみの周りにいるよ。

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