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観賞数 2024年 映画 93本、 演劇 71本

ひゃくはち (2008/日)(森義隆) 75点

2008-08-21 13:39:13 | 映画遍歴
一応青春映画ってことになっているけれど、この映画から感じるものはまさに、特に才能があるほどでもないが好きで何かをやっている人たちのそんな報われない気持ちであり、その光と影がよく表わされている。

超有力野球チームの補欠の若者に焦点が置かれている。彼らはレギュラーたちと同じ練習をし、同じ悩みも持っているが肝心の違うところは試合に出る事は決してない、ということだ。ベンチに入れば補欠でなくなるが、補欠ではなくなっても試合に出ることはほとんど皆無なのだ。いわゆるベンチウォーマーになれるだけだ。
それでも彼らは一年中合宿生活をし、甲子園という目標に向かってつらい練習に明け暮れる。

でも、甲子園に行って試合に出ることだけが彼らの生き様ではないことは観客である僕たちが知っている。彼らはチームがピンチの際に彼らが出来うることを考え出し、密かにその練習をする。それはチームメイトがビデオで見ても何をしているか分からない代物だったが、彼らは彼らだけが出来うる何かを生み出し、それをもってチームに貢献する。

爽やかなラストだ。ジーンとする。まさに青春映画だが、実はこういうことは日常茶飯事、我々の人生に起こっていることでもある。社会人になっても一生補欠以前の人はいる。否、ほとんどの人たちが補欠以前であります。人生を生きるということは毎日を生活することの繰り返しであり、食べるために、家族を養うために人間は大なり小なり補欠以前の生活をしているのであります。

そう、この映画は選ばれた人以外が大多数、という究極の真実を真正面に受け止めそれでも人間が生きていくことのたくましさ、やさしさ、哀しさ等を描いた映画であります。エリートと思っている人たちからは見向きもされない彼らだろうが、雑草である彼らを見て、僕たちはそこに本当の人生の真実を見る想いがします。勇気を与えてくれる映画だ。

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