カン劇cockpit 第６回公演（脚本／松本大志郎・演出／山本拓平）（於アトリエS-pace） 75点

歌舞伎での名作らしい出し物ですが、僕は初めて知りました。前々作の軽妙なコメディものが印象に残っているので、今回は正直本気でやっているなあとその熱い思いは観客には伝わって来ました。

大阪のどの時代を設定しているんだろうか、かなり古い時代に現代の機器など配置したその斬新性は大いに評価できる。所々セリフを噛んだ個所もあったが、それほど気にならず浪曲さながらのいでたちのこの舞台は息をついでいる。

ただ惜しいかな、義父を刺し殺した後精神的に臥せっているところのセリフがほとんど聞こえず、演出なんだろうが、やはりセリフは観客に聞こえて初めて舞台だと思うので少々残念であった。でも、俳優全員の頑張りはこちらにも十分伝わってきていた。

こんな難しい出し物を奮起の材料にしようとするこの劇団をこれからも応援したいと思い、小さな劇場を出たのであった。僕のお気に入りの「カラクリ」から常連のお二人が出演していたことも偶然だが嬉しかった。頑張ってください。