第一章を読んであまりの劇画調映画スタイルに驚き、メチャ面白かったが、面白すぎて危険の匂いを嗅ぎ、読むのを止めようかなあとも思った。でもふとページを繰ると以降はそれほど劇画風でもなく毒牙いっぱいの個性派の登場をたっぷり浴び、一気に読んでしまう。
トンデモ小説に分類されるかのようなどぎつさはそのうち慣れてくるが、でもこれほどのトンデモ小説の作家の登場も久々ではないか。あまりの大物人物のつじつま合わせには少々あんぐりするところあれど、でも大胆なその立ちふるまいは賞賛されていいのではないか。
最終章近くのコリアンの独特の味わいが哀しみと共にどぎつさも増すが、この題材だと梁石日作品の方が上位かと思う。
全体に、展開、筋書きは言うところないのですが、こんな言い方失礼かもしれませんが、奔放なストーリーに沿った書き込み(深み)があまり感じられなかったので、読後感はかなりの圧倒感もあったが、時間がたつにつれその印象も薄くなってゆく。他の作品を読んでいないので何とも言えないが、やはりもう少し「心」を書いて欲しかったように思います。
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