原作を読みラストの2,3ページで号泣してしまった映画版であります。もうそんなことはすまいと思っていたのに、今度は途中から泣き通し。これはホント珍しい。
どうしても主人公と自分を比べ、そして思い起こすんだよね。僕だったら、どうするかって、、。
そうすると、自分が死ぬのは仕方がないとして、そして死の意味、死後のことなんかで思い悩むんだったら、家族が幸せになる方法を考えるこの映画の男性に、何と大いなる意義を見出し、僕もこれに乗ろうかなあなんて、映画を見ながら思い始めていたのであった。
そうする方が、そう考える方が前向きで、正しいと考える。
さあ、そうなるとこの映画の主人公の気持ちがどんどん自分に同化し、僕は映画館で自分と主人公が同一化し、自分がこの主人公を過ごしているかのような錯覚に陥ってしまった。そうなると、本当にこの優しい男の行動、営みが妙に大切に、いとおしく思われて来るのだった。
映画では妻が真実を知るシーンが中ほどで出現する。だから、それからの登場人物・みんなの行動が涙なしでは見られないものになってくる。見事な演出である。心が透明でないとこんなに清々しい人の営みを描くことはできないだろう。
三宅喜重の人となりがこの作品ににじみ出ているのだと思う。それほど人と人との結びつき、愛を常に考えている人だと思う。
もう涙も出尽くしてラストもラスト。この男の手紙の最後の一行。
「もう一度あの世で君と会えたなら、僕と結婚してください!」
にはもう枯れ果てたはずの涙がせきを切ったように流れ出た、、。こんな素晴らしい愛もあるのだ。こんな一途な真っ白な男がいるのだ。そして僕と較べて、ああ、うらやましい!!
意外な秀作。素晴らしい作品でした。
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