余命6か月と宣言された仕事盛りの男の物語であります。子供は今度中学受験。奥さんはまだ若きそれなりの専業主婦。男は死後のことを考え、とんでもないことを考えてゆく、、。
ほんとに宣言通り、病魔はやってくるのだね。治療も何もしないでこんなにゆっくりと死がやって来るのならそれでもいいのかなあと思ってしまう。そうなんだ。抗がん剤やらの治療をするから大変なんだ。健康な部分までも抗がん剤は痛みつける。そりゃあ、体も持たないわな、とか考える。
そんなこと、この小説には全然書かれていません。そこにはただただ家族への死後の想いがあるだけです。周りの人たちもいい人たちばかりで、とても心がなごまされます。何より主人公のこの男の想いが泣かせます。
不覚なことに最後の2,3ページは涙で文字が読めませんでした。ぐわっと、本の文字がぐちゃぐちゃに流れるんですよね。久しぶりの経験でした。しかも人が大勢いた中での出来事で自分自身大いに戸惑いました。
まあ、こんなことあるわけないだろうというご意見の多いのは推察できますが、とても人間が透けて見られる小説です。一度読んで見られてはいかがでしょうか。
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