何かしらこの作品は「探偵はBARにいる」を連想させる。連結要素は松田龍平だけなんだが、空気感がそこはかと共通しているかなあ。まあ、便利屋といっても実質的に探偵でもあるからね。
日本のどこにもないまほろ駅というのがまず、いいんだよね。便利屋の事務所は住居を兼ねたおんぼろ風情である。応接セットも相当ひどい。事務所に入る階段には便利屋のくたびれた感のある広告も見える。この映像は見ているだけで郷愁感というか、ぐっと心が癒される。
話はほとんどとりとめのない展開でそんなに目くじらを立てる必要はないであろう。あのバスジャックも映像化すると相当ひどいものになっている。あの人工授精の女性カップルも、え!とは思うが、何かどこかでこういうのを見た覚えがあり、まあそんなものかと思わせる。
2時間、僕はこの淡い空気感をこの映画に求めているのだ、と気づく。このとぼけた、さりとて多少の人生観を見せているこの映像をじっくりただつくねんとと見ていたいのだ。
こういう映画もあっていいと思う。まさに小説にそれを求めているように映画を見ている自分。好きだなあ、この作品。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます