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風が強く吹いている (2009/日)(大森寿美男) 80点

2009-11-12 13:12:28 | 映画遍歴
僕の好きな青春スポーツもの。展開がマンガチックだが、それなりにうまくお膳立てしてある。10人の長距離ランナーを集めた陸上部寮。そこが彼らの生活空間だ。まるでマンガ家の集まるトキワ荘であるかのような描写は俄然興味津津。そのままラストまで一気。

話は想定内の範囲で終わるから感動度はそれほどでもないが、でもやはり箱根を10人でつないでいく一本のタスキを丁寧に撮っていたカメラはこの映画の心根を十分表している。僕たちがテレビで何気なく見ているこのタスキには彼ら毎日走りぬいた彼らの汗と、何より気持ちが沁み込んでいる。

それは一時期、みんなが同じ場所、方向を見つめていたという青春特有のきらめきだ。しかし、社会人になってそれらはすぐ僕たちの手からもぎ取られていく。あの、みんなの思いを集結したタスキははるかかなたの空に飛んで行ってしまう。

でも、それが青春なのだ。いいも悪いもそれが青春なのだ。青春まっただ中の若者はそれに気づかないかもしれないが、そういうひとときがだれの人生にも存在する。

映画の中で、誰かが言っていたなあ。走っているとき、風を感じて走っているとき、どんな風景を眺めているか、何を思っているか。そう、走っていることそのものが青春なんだから、自分自身で明確に分からないだろう。だって、青春の真っただ中にいる人間はそれを客観的に自覚するのは困難だ。

そうなんだ。青春の、そのときには「風が強く吹いている」のだ。風を感じて毎日を過ごしたいなあ、、とふと思わせてくれた秀作です。

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