意味不明の題名です。舞台でもこの用語は出てこず、最後までわからず。セリフも高知弁なんだろうが、ちょっとわからない部分もあり。と言って、決してこの舞台をけなしているわけではありません。高知の都会から離れたふし工場の事務所が舞台です。方言はこの芝居では重要である。
ひとりあくせくしている女所長のところに若い空き巣男が紛れ込んでくる。この冒頭の設定が斬新で面白い。なかなか外に出られない男となぜかおびえない女とのや関心を持たせることに成功する。そこからは得体のしれない大男が出てきたり、なぜか左腕が使えない姉が出てきたりして、ようやく女所長の生きている場所が明確化される。
女性らしい脚本の進め方で、きめ細かい描写が続く。登場人物は全員、この世の中では主人公に決してなれない人物ぞろいなのだが、だからこそこの題名「いびしない(散らかっている)」の人間関係がクローズアップされることになる。一市井の、コロナ渦での、ある切り取られた人間芝居である。軽妙で愉快でしかし哀しい音色がしています。
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