見事だ。ほんと、素晴らしい。映像のどの部分も気持ちが入っていて、無駄が全くない。細部にまで、神経が行き届き、完璧な出来。山田洋次の完熟度の高い秀作であり、見事な反戦映画。
特にストーリー的なところはない。淡々と、暗い時代を子どもたち、父親代わりに訪れてくれる弟子、親身に家族を助けてくれる義妹、叔父、親切な近所の人達などのエピソードの積み重ねである。でも、それが一つ一つ確かで、輝いている。時代の哀しみさえ感じるほど真実がある。庶民がいかにその時を生きてきたか、その重みがある。
心配していた吉永小百合の実年齢との差は不思議と全く気にならなかった。驚異的である。今まで結構彼女の演技を見てきたが、今回は入魂の演技で、一定して受けの演技だ。ひょっとしたら、このような演技は彼女としても初めてかもしれない。
だからこそ彼女の肉体から発する演技は彼女の周囲の俳優を包んでいる。この映画の基礎の部分となっている。彼女が存在しているからこそ、周りの演技が冴えることとなる。
演出も完璧に近く、また俳優陣の演技もすこぶる素晴らしいが、なかでも浅野忠信の、家庭の団欒を奏でるコミカルでいて軽やか、その中で吉永への愛を感じ取っていく演技はすごい。こんな演技が彼に出来たというのは、吉永も含めてやはり山田洋次の魔術だろうか、すごいなあ。
2時間20分、淡々と庶民の生活を忠実に描いているように見えるが、基本に流れているのはやはり庶民の権力への憤り、自由への憧憬であろうか。
吉永の臨終の最後の一言はこの映画を強烈な反戦映画に仕立てているが、山田映画としては動的である。ある意味、ここでバランスを崩しているのだが、これだけは言っておきたかったという強い思いがあったのだろう。印象に残る。
終戦から60年以上たった今、この映画が生まれたということの意味を僕たちは今改めて考える必要があるように思う。そう、今だからこそ作られるべくして作られた映画なのかもしれない。
山田のライフワーク映画でもベストに近い秀作ではないか、と思う。また、同じく吉永にとってもそうである。
特にストーリー的なところはない。淡々と、暗い時代を子どもたち、父親代わりに訪れてくれる弟子、親身に家族を助けてくれる義妹、叔父、親切な近所の人達などのエピソードの積み重ねである。でも、それが一つ一つ確かで、輝いている。時代の哀しみさえ感じるほど真実がある。庶民がいかにその時を生きてきたか、その重みがある。
心配していた吉永小百合の実年齢との差は不思議と全く気にならなかった。驚異的である。今まで結構彼女の演技を見てきたが、今回は入魂の演技で、一定して受けの演技だ。ひょっとしたら、このような演技は彼女としても初めてかもしれない。
だからこそ彼女の肉体から発する演技は彼女の周囲の俳優を包んでいる。この映画の基礎の部分となっている。彼女が存在しているからこそ、周りの演技が冴えることとなる。
演出も完璧に近く、また俳優陣の演技もすこぶる素晴らしいが、なかでも浅野忠信の、家庭の団欒を奏でるコミカルでいて軽やか、その中で吉永への愛を感じ取っていく演技はすごい。こんな演技が彼に出来たというのは、吉永も含めてやはり山田洋次の魔術だろうか、すごいなあ。
2時間20分、淡々と庶民の生活を忠実に描いているように見えるが、基本に流れているのはやはり庶民の権力への憤り、自由への憧憬であろうか。
吉永の臨終の最後の一言はこの映画を強烈な反戦映画に仕立てているが、山田映画としては動的である。ある意味、ここでバランスを崩しているのだが、これだけは言っておきたかったという強い思いがあったのだろう。印象に残る。
終戦から60年以上たった今、この映画が生まれたということの意味を僕たちは今改めて考える必要があるように思う。そう、今だからこそ作られるべくして作られた映画なのかもしれない。
山田のライフワーク映画でもベストに近い秀作ではないか、と思う。また、同じく吉永にとってもそうである。
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