彼女がパリに行ってしまうので本屋でフランス語を勉強するけなげな男が主人公。でも、特にハンサムでもなくそこらに一掃されるかのようなモヤシ男風情だ。でも、このキャスティングがいいのだな。新鮮で素晴らしい。
対する、書店に勤める女の子。とてもチャーミングで目立つほど。男の子とは好対照だ。けれどこの女の子、何故かモヤシ男を好きになり、台北の真夜中の一夜のエピソードを紡いでゆく。
そこから出てくる登場人物はみな、生き生きとして台北の街が輝いてくる。男たちはちょっとした犯罪に巻き込まれ街を疾走する。いいなあ。描写が懐かしいヌーヴェルバーグ風。まるで古き良き町パリの面影が匂い立つ。
介在するギャングたちもみんな人がよさそうで、監禁しているうちに一緒にマージャンを打ったりしている。いろんな恋愛や喧騒を街に飲み込ませて朝がやって来る。朝は出発の時だ。旅立ちは青春のスタート地点でもある。
好きだなあ、この映画。地震報道で疲れていたときにこの映画を見てよかったと思う。まさに誰もが経験する青春の疾走感がそこにある。けれど青春はいつまでも続かない。そんなけだるさも少し匂う秀作。
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