それほど期待しないで見た演劇だった。学生演劇だからなんてという気持ちがどこかにあったのかもしれない。
でもいつも思うのだ。学生演劇を見るために大学構内に入ったりしているとき、街中では見られない学生と巡り合う。そういう若者の純な姿が好きだ。
そんな気持ちで見始めた。とてもいい。今時の学生が源氏でなくて、平氏を演ずること。そこに現代人は何を感じるか、、。この切り口がとてもいい。
白と赤の色彩対比で明確化した源平の違いが分かりやすい。その旗は船にもなり波にもなる。躍動感のある演出。朗々たる俳優陣のセリフさばき。それは見事でした。
敦盛と熊谷直実との戦いをピークに持っていく演出は正しい。これが現代の若者にアピールすればなお僕はうれしいと思う。このシ-ン、不覚にも涙が出て止まらない。
そしてミカオは安徳天皇だから三種の神器とともに壇ノ浦の海に散るのだろう、このラストは見たくないなあと思っていたら、作者も同様の思いだったのか、ばあちゃんがうまく処理してあの悲哀、怒涛のシーンは見ないで済んだ。よかった、、。
途中出てくる義経の立ち振る舞いの美しさ、けれど、彼も兄の頼朝に最後には追われる運命なのだ、と思うと人間の永続的な悲哀を感じる。
戦いとは1000年経った現代の平成に時代においてもなくなってはいない。人間が存在する限り戦いというものは永遠になくならないものなのか、、。考えさせられる話である。
この若者たちが、日本の古代から存在した「滅びの世界」、そして「死ぬことが分かっていても戦わざるを得なかった「名こそ惜しけれ」の世界」を現代の空間に降ろしてくれただけでもこの演劇は価値があると思う。
とても気持ちよく劇場を出られました。
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