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ハーフェズ ペルシャの詩〈うた〉 (2007/イラン=日)(アボルファズル・ジャリリ) 75点

2008-04-16 15:21:11 | 映画遍歴
イラン映画なんですが、中東の黄色い土、ほこり、レンガ、草花、そして苦悩している若者を見ているうちにやはりイスラム教もキリスト教と根は一つなのだと気づきました。

愛を得るためではなく、愛を忘れるために巡礼の旅をしている若者はある意味コーランの教えから逸脱しているのだろう。それほど素直に湧き出る言葉さえ咎められる現代宗教は人を圧迫しているのだ、ということを冒頭の詩を伝えるシーンでこの映画は言い切っている。

それは愛のシーンでもある。コーランの教えをただ暗誦するだけでなく、言葉の意味を考えることが人間性の解放であるとでも言いたげである。

その後の展開はキリストが受けた受難に似つかわしいほど、女を意識すればするほど罰則を受ける。自然発露的に人を思う気持ちが罪なのである。その長い過程の後に男の気持ちが女に伝わる。象徴的なラストである。ほとんどの人がこの、美しい布で鏡を拭くことの意味を分からないのではあるまいか。

恋愛映画ともいえますが、僕には人間の自由は気持ちを抑制しようとしている現代宗教のあり方を批判している映画のようにも思えました。全体の流れが茫洋としているので、ふと気づくとあっと終わっていた映画でしたが、何か荒野のふと聞こえる風鈴の音、といったイメージが残りました。秀作です。

ちなみに麻生久美子はチベットから来た王女という設定にはそれほど無理はなかったものの、出演場面の少なさ、台詞の言回し等から違和感を少々感じました。彼女自身もこの演技は不満なのではないでしょうか、、。

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