これはどういっていいかなあ、いまみんなが求めているものすべてが詰まった秀逸な演劇でした。
メロメロと読めるけど、算術で何かに0を掛けると0になってしまう。すべてクリアにしてしまう(無限)ということなんだ、と言ってたような気がする。面白いね。
だいたいここに出て来る人たちは人がああせよと言ったら、逆のことをしてしまう人たちばかりだ。自分の思いをそのまま行動することはない。現代の若者は多分その気味があるよね。うんうん分る。
音楽。バンド。ロックンロール。日本での東西内乱戦争。若者たちも武器を持つ。彼らに明日はない。青春の一瞬にだけ存在する思い。どんなに厳しい環境でも音楽を通して何か一点を見つめるひと時を共有する。僕たちもそろそろ忘れかけているが、舞台の若者たちはまさにその時を過ごしている。
このように人生においても一番光り輝いている一瞬をこの舞台は切り取ることに成功している。どんな人間でも自覚するしないは別として、一度は通過する道であり、そんなひと時があるはずである。これを山崎は音楽という視覚、聴覚を通し僕らに説得力を持って表現する。
いつもは主役から遠ざかった役柄が多いのに、今回の役はバンドのヴォーカル、しかも戦争終了直前に女子高校生により殺されてしまう。山崎、カッコ良過ぎるよ、この役。やりすぎだよ。(冗談です)
ここで第一幕終了。うまいね。余韻も残り、第2幕への希望と観客はワクワクする仕掛けとなっている。一応山崎はしばらく出てこないはずだ。
第2幕は山崎を慕ってみんな時間が止まっている。それをあるライターが一人ずつ訪ねて、またバンドは山崎の死んだ長崎に集結することになる。そしてあの女子高校生一人だけの観客のライブが始まるのだ。
と、こう、あらすじをただ書いても感動的だ。山崎にしては少々センチ。それを彼は一番分かっている。でも敢えてやってしまう。音楽とは感情を吐露するものだからだ。メロメロ(×0×0)だからだ。そしてこの劇場にいた全員が、この場、この時、その自由な時間を共有する至福に浸っている、、。
何と素晴らしい。山崎、やったね!
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