めずらしく神戸まで操り出しターナー展へ。東京に行ったとき上野でやっていたが、まあ関西に来るときに見ればいいとパス。それほど待ち望んでいた展示会であった。
ターナーの絵はあの自然と溶け合う雰囲気が個性的でいつも画集で感心していたものである。今回の展示会は大きい絵もあればごく小さい水彩画なども多く、思っていたターナーとは少し印象が違うなあと思った。
海、空がまるで分解され、崇高で深遠な絵もあったが、意外と実際の絵はそれほど繊細でもない。画集の方が素敵だなんて作者に怒られそうだが、通常絵画を見て感じるほとばしりが彼の場合は意外とあまり感じられなかった。
人物があまり書けていないような気がする。デッサンが雑と言ったら失礼か。(素人が本当に失礼ですなあ) 勝手に思い描いていた孤高の人のようには思えないのである。また普通の画家が描くような例えば自分のためだけの絵というのはあまりないように思えた。
手段はどうでもいいが、スポンサーに乞われようが自分を出していくのが芸術家であるまいか、と思う。そんなほとばしりがこの展示会では感じられなかった。
まあこれだけの量のターナー回顧展は珍しいが、見ている人の反応もほとんどが冷静であったように思えた。ひょっとしたら日本人に合いそうでそうでない芸術家なのかもしれない。風景画家で有名なターナーだが、風景画の巨匠コローには少し距離があり(失礼、ターナーファンには申し訳ない)、ましてや僕らがよく見る印象派の画家たちやレンブラント、フェルメールたちとも少し違っている。
意外と、皆、見入っていないのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます