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朗読者(ベルンハルト・シュリンク/著 松永美穂/訳 2003 新潮社) 80点

2009-06-26 11:27:06 | 読書遍歴
何十年ぶりの翻訳もの読後感であります。最近はミステリーでも外国ものは読んでいなかったんです。この作品の場合、ほとんど15歳の少年と20歳ほど年上の女性との二人だけの愛の交換記のようなものなので、登場人物の名前を覚えるのが大変ということはない。

シュリンクはミステリー作家らしく急に女性が失踪するなどミステリーとしても本作は楽しめるようになっている。ネタばれになってしまうが今回のネタは「文盲」である。ルース・レンデルの「ロウフィールド館の惨劇」も文盲が原因でブルジョア家庭を殺戮していくハナシであったが、本作もドイツという文明国だからこそ起こった悲劇とも言えそうだ。

文盲の話に偏ってしまったが、本作のテーマはやはり愛の持続ということであろう。女は文盲であれ、無意識には男に裁判でも本当のことを言ってもらいたかったのではないか、と僕は思える。男には愛に対しての力が弱すぎたのだ。断罪されるべきは男だと思われる。それを女は出所するぎりぎりの日に自ら命を絶ち、男に伝えたかったのだろうか、、。

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