これはまたすごい演劇を見る。登場人物15,6人。人数的にはそれほど異色ではないが、なんとそれぞれの役柄がきちんと描かれていて、しかも全員添え物ではない、いわばみんな主役なのだ。そこがまずすごい。
そしてその脈絡のなさそうなそれぞれのエピソードが、見事ラストに向かって収束してゆくその演劇の醍醐味と言ったら、そうそう見られない代物であります。はせひろいち氏の類まれな才能を見る思いです。これを2時間でまとめます。
そして何よりすごいのが15,6人の役者が全員個性的。みんならんらんと輝いている。どこからこれだけの俳優を集めて来たんだと、もう観客は夢中になる次第。彼らを見ているだけで楽しいのだ。
話は原発あり、DVあり、ヤクあり、いわゆる現代の病理冷蔵庫たる設定である。こんなひどい世の中でも人はどうやって生きて行けるのか。その問いかけが全編に渡りみなぎる。わたしたちに突きつけているのである。
でも、生きるユーモアたっぷりにそれは漂ってくるので、おかしくもあり哀しくもある。そしてふと自ら自分自身のことと観客は気づくのである、、。これだけの演劇はそうそうない。見た者だけが至福に浸ることができる。今日は本当にいい日であった。
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