本の腰巻通り、まさに行方不明児童を追う刑事とその家族の人間模様が辛辣に描かれる。小説的ではなく、まさに現実だったらこうなんだろうなあと思わせるリアリズムすぎる叙述で、驚かされる。
よくある、ストーリーのポイントだけを描くという方法を取っていないので、換言すれば、無駄なものもじっくり描くというリアリズム方法は、あまり他に類を見ない書き方ではないか、と思われます。
まあ、要するに、この小説はミステリーを書こうとしているのではないんだろうなあ、だからこういう叙述ができるんだ。とにもかくにも、刑事たちと被害者家族たちの貴重な3年を十分な筆力で描き尽くした力作だと思います。
ラストは意外と平凡だったけど、まああれ以上のものも、以下のものも選べなかったでしょうなあ。あれでよかったんだ。そう思う。読ませる作家です。
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