やっと見ることのできたドライヤー作品。なるほど、静謐で緻密な映像。動きもスローで、人物の奥底を舐め尽くすようだ。神秘性も大。
話は男女のドロドロ感を秘めてはいるのだが、登場人物へのドライヤーの思い入れが等しく、また審美的で、ある程度の距離感を感じる。そのため、劇的にならず、抑えられている。恐らく当時の検閲を意識していたのだろう、人権への強い思いはかなり薄れている。そのためか、不思議な作品となった。
屋内の撮影がすこぶる多く、閉塞感が強く漂うが、それは敢えてドライヤーが意識したものなのだろう。対照的に若い二人が自然に触れるシーンは明るく輝いている。この解放感を言いたかったのだろう、、。
話としては女性陣があの時代にしては3人とも強く、対して男性陣はふにゃふにゃ状態である。これもドライヤーの隠された意図があるのだろう。お話としては、日本の歌舞伎を感じさせるものがあるが、生きる自由度にここまで制限がかかると、こんな宗教画のような映画になるのでしょうか。実に面白かったです。
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