さすが佐々木譲。読ませる文章で550ページはそれほど苦にならず。
警察から、弁護士から、そして被疑者の関係者から全く等距離でこの単純な事件を描き切っている。通常はどれかが主となって展開するものなのだが、公平なんだよなあ。だからこそ力作となったと思う。
けれど、警察のでっち上げのような逮捕も小説としては少々疑わしく、真犯人の描き方も雑ではある。この辺りが気にはなったが、一気読みはミステリーの定番である。褒められるべきだろう。
全体に書き慣れている感も無きにしも非ずだが、佐々木にしてはそろそろミステリー的な題材が欠如しかけているのかもしれません。敢えて言えば、斬新さが足りません。アッと驚くミステリーが読みたいのだ。次作に期待。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます