
2年前に見逃した作品でした。やっとの思いで、秀作の誉れ高いこの作品をじっくり鑑賞する。
見てみると、何と、ほとんど福谷の脳裏の中を妄想という形で吐露した実に面白い、一見難解にも見える作品でした。
演劇だけでなく、映画作家にもこの手の作品は多い。古くはフェリーニの「8・1/2」、アンゲロプロス「永遠と一日」、ベルイマン「野いちご」など名作が多い。
福谷の場合は作品を作る苦しみがあまりないようで、産みの苦しみといった苦悩があまり見られないが、演劇を作る方と観客との融合、演劇を作る喜び、不安定な自分の立ち位置といったものが明瞭に描かれていて、しかもその方法が斬新であり、鋭い。
こんな孤高の作品を見ていなかったなだなあと、本当に申し訳ない思いもする。再演がなかったら、匿名劇壇の評価が違った方に行くようだったかもしれぬほどだ。
この劇団のいいところは劇団員みんなが自分に自信を持っていて、それぞれの役割を十分意識しているところ。そして練習が常に十分でトチリが全くない。しかも劇団員全員が美男美女のオンパレード。ビジュアル的にもすこぶる楽しい。
日本の劇団でもそうそうはないと思われる希少価値のある劇団である。またまた次作が楽しみになって来た。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます