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ベティの小さな秘密 (2006/仏)(ジャン・ピエール・アメリス) 75点

2008-10-31 10:43:58 | 映画遍歴
幼い少女と精神病患者との邂逅と聞けば古く「シベールの日曜日」という恐い名作を思い出す。二人だけの世界というのは当人以外にはどんな場合でも理解されないものなのだ。この映画も嫌な結末を想像してしまったが、かろうじてこらえている。

10歳ぐらいの少女の心の中はもう僕らの年代になると分かりようもないのであるが、やはり繊細で硝子のような構造になっているのであろう。両親は毎晩口げんか、姉は寄宿舎に行く。完全に一人ぼっち。少女の心に孤独の灯がともる。そんな時、可愛がっていた犬が殺処分を待つ状態になり、精神病患者の若者が逃亡しているのを見つけ、少女は青年をかくまう。

患者ではあるけれども、心は少女と通じ合う。まるっきり幼児のような純粋な青年だ。だが、そんな安らぎのひとときも長くは続かなかった。少女は犬と青年と一緒に新たな場所を見つけるために屋敷を出ることにする。

青年が本当にいたいけな幼児のように思えた。でも、我々大人から見れば立派な大人の青年なのだが、映画では純粋コドモとして撮っている。素晴らしい演技と演出だ。体の大きさの違いが全く気にならない。男の子と女の子と、そして普通の犬との逃亡劇だ。美しいシルエット。だが、追っ手は近づく、、。

ラストで悲劇にしなかったことが素晴らしいと思う。「シベールの日曜日」はある意味、恋愛劇だった。しかし、この映画は幼い寂しい少女の心を焦点に丹念にスケッチしたものであるから、悲劇にする必要はなかったのであろう。映画としては小品だが、幼子の心のひだを繊細に描いて秀逸だ。心残る佳作となっている。

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