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アゴラ演劇学校“無隣館”修了公演『S高原から』(作・演出:平田オリザ)(於・こまばアゴラ劇場) 80点

2014-03-21 11:36:44 | 演劇遍歴

現代では設定といい、テーマといい地味な作品と言えるだろう。高原に立つサナトリウム。時間さえ止まったような魔の山に若いひとたちが生きている。彼らは何を思い、何を考え、何を信じて生と死を見つめているのだろうか、、。

死を意識しながら毎日の時間を過ごしている患者たち。医師や看護師たち。そして患者に見舞いに来る友人たち、恋人たち、家族たち、、。当然ながら彼らすべてにそれぞれ固有の人生が存在する。

サナトリウムは人生の縮図である。人間、ただ毎日あまり考えずにその日を忙しく生きている人も多いのかもしれないが、けれどふと考える死の幻影に一瞬立ち止まる人もいるだろう。

人生の真実を鋭いナイフで切り取られたかのような、重く凝縮した時間の概念が目の前に繰り広げられる。若いのに死を意識せざるを得ない人たち。彼らの日常、、。

何か、ふと人生という真実を見つめるのにはいい時間でありいい空間であった。

俳優は16人みんな実に個性的でそれぞれ自分の持ち分を出し切っている。かなり練習してきたことが分かる。

「風立ちぬ。いざ、生きめやも。」 堀辰雄が舞台のそばにいるようでもあった。


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