当時の新女性たる与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子が、飛行機ではなく鉄路でパリまで旅した心象を現代女性とリンクさせた野心作、という触れ込みなんだろうが、どうも心に食い入るものがないようにに思われた。
それは主人公である現代女性森あゆみが、何ら自分を吐露することなく、この3人とシンクロさせようとしているからのように思われる。森がどういう人生を生き、何を悩み、何を喜ぶのか、という根本的なことがほとんど語られないのである。
3人の女傑も表層的なセリフが多く、それほど内面を語っているわけではない。
登場人物が多くダンスシーンもあったり、それなりに面白いが、どうもただ眺めているだけの僕を感じる。
ただ、鈴木瑞穂を見に来た目的の僕のこと。彼の元気そうな体躯を見、本当に西洋人にも見える風貌が素敵でカッコよく、7,8分のシーンであったが、鈴木の現役の充実した演技を見ることができたのは実に嬉しいし、収穫であった。
いつも小演劇を見ているからか、どうも観客に迎合しているような(初老の女性が多かった。)劇に思えた。でもみんな自分の心をリンクさせ演劇を楽しみたいのだ。観客を見くびってはいけない、と思うのだ。
ちょっと辛口だったかな。
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