映画、小説でこそ使えるトリックをうまくこの映画は我々観客に大サービスして披露してくれる。【行定勲】うまいわあ。感心する。何げない夫婦の会話も壺にはまり、子供のいない夫婦の、お互いしか寄るところのない愛の確かさを表現する。
いい映画って冒頭から観客を乗せてしまう。仕事もしないでぐうたら生活をしている夫とそれを見守る妻。夫婦って結婚しちゃえばそれほどお互いに胸の内を話さなくなる。会話はあっても本質的なことは、特に愛の部分は恥ずかしいのか避ける。会話でいつでもどこでも「愛してるよ」と平気で言える外国人には分からないだろう、この奥ゆかしい日本人の感覚、、。
と、こう、恥ずかしくも言ってのける僕。何を隠そう、僕も結婚して以来妻に愛してるよ、なんてそんな気恥ずかしいことは云十年言ったことはない。思っていることの1/100も金輪際伝えていないから恐らくもう冷え切った夫婦だと思われているだろう。口を聞けばバカにされているような気さえする夫婦の会話、、。ああ、しかし、、
大体日本人の大部分はお互いの気持ちを本当に開くことなく夫婦生活をしているのではないか。そんな日本人が見たこの映画、恐らくほとんど納得してしまうシーンの多いことに共感してしまうのではないだろうか。でも、夫婦って、映画のように甘さはそれほどなくても、やはり話さないと分からないものなのだ、とこの映画は教えてくれる。
男はでも、話さなくても分かると思っている動物である。特に日本人は。そこに思いがけない罠が潜んでいるのだろう。
夫婦でも家族でもそうだと思うが、人間はおそらく一人では生きていけないのだろう。でも、一人でいたくなる時のあるのも事実。そんな男と女の感情をこの映画は的確に描写する。完全に的を得た演技。乗りに乗った素晴らしい演出。そういう旬の映画感覚がこの映画にはある。
途中で妻の出現の不思議さに観客は気付き始める。それからだ。この映画のいとおしさが高まってくるのは。
僕は庭で珍しく夫が離婚記念にと写真をばしばし撮るシーンに急に号泣する。分かる。分かるなあ。ずっと二人でいたいんだよ。そうだよなあ。普段は邪魔な存在でもあるけれど、実は常にそばにいて欲しいんだよ、ね。相変わらず甘いと言われようが妻ってそういう存在でもあるのだ。
その必死で写したカメラのネガに妻がいないことが分かってしまうシーンから、観客は妙な真剣さを求められる。僕は涙が出っ放し。ふと【大林宣彦】の『ふたり』を思い浮かべる。そんなみずみずしいイメージでもある。
ラスト近くの若者二人の恋愛劇はなくともよかったと思ったが、この映画は本年屈指の秀作であることに違いはない、と思う。日常的な会話の積み重ねでここまで存在の喪失感を表現でき得た映画もまた珍しい。
恐らく【行定勲】の最高作であるだろうし、主演【豊川悦司】の代表作になるだろう。【薬師丸ひろ子】も相変わらず愛くるしい容貌。いい演技だ。そして意外やオカマ役で骨太な【石橋蓮司】の演技。この映画の奥行きを広げている。今でも余韻が残る秀作だ。
いい映画って冒頭から観客を乗せてしまう。仕事もしないでぐうたら生活をしている夫とそれを見守る妻。夫婦って結婚しちゃえばそれほどお互いに胸の内を話さなくなる。会話はあっても本質的なことは、特に愛の部分は恥ずかしいのか避ける。会話でいつでもどこでも「愛してるよ」と平気で言える外国人には分からないだろう、この奥ゆかしい日本人の感覚、、。
と、こう、恥ずかしくも言ってのける僕。何を隠そう、僕も結婚して以来妻に愛してるよ、なんてそんな気恥ずかしいことは云十年言ったことはない。思っていることの1/100も金輪際伝えていないから恐らくもう冷え切った夫婦だと思われているだろう。口を聞けばバカにされているような気さえする夫婦の会話、、。ああ、しかし、、
大体日本人の大部分はお互いの気持ちを本当に開くことなく夫婦生活をしているのではないか。そんな日本人が見たこの映画、恐らくほとんど納得してしまうシーンの多いことに共感してしまうのではないだろうか。でも、夫婦って、映画のように甘さはそれほどなくても、やはり話さないと分からないものなのだ、とこの映画は教えてくれる。
男はでも、話さなくても分かると思っている動物である。特に日本人は。そこに思いがけない罠が潜んでいるのだろう。
夫婦でも家族でもそうだと思うが、人間はおそらく一人では生きていけないのだろう。でも、一人でいたくなる時のあるのも事実。そんな男と女の感情をこの映画は的確に描写する。完全に的を得た演技。乗りに乗った素晴らしい演出。そういう旬の映画感覚がこの映画にはある。
途中で妻の出現の不思議さに観客は気付き始める。それからだ。この映画のいとおしさが高まってくるのは。
僕は庭で珍しく夫が離婚記念にと写真をばしばし撮るシーンに急に号泣する。分かる。分かるなあ。ずっと二人でいたいんだよ。そうだよなあ。普段は邪魔な存在でもあるけれど、実は常にそばにいて欲しいんだよ、ね。相変わらず甘いと言われようが妻ってそういう存在でもあるのだ。
その必死で写したカメラのネガに妻がいないことが分かってしまうシーンから、観客は妙な真剣さを求められる。僕は涙が出っ放し。ふと【大林宣彦】の『ふたり』を思い浮かべる。そんなみずみずしいイメージでもある。
ラスト近くの若者二人の恋愛劇はなくともよかったと思ったが、この映画は本年屈指の秀作であることに違いはない、と思う。日常的な会話の積み重ねでここまで存在の喪失感を表現でき得た映画もまた珍しい。
恐らく【行定勲】の最高作であるだろうし、主演【豊川悦司】の代表作になるだろう。【薬師丸ひろ子】も相変わらず愛くるしい容貌。いい演技だ。そして意外やオカマ役で骨太な【石橋蓮司】の演技。この映画の奥行きを広げている。今でも余韻が残る秀作だ。
ただ、行定監督の映画を見に行くのは、2年ほど前に見た「遠くの空に消えた」のトラウマが強すぎで、かなり勇気がいりました。あの映画は本当に酷かったですから。
でも、ヌートリアさんが90点をつけているのだからと今朝見てきました。見に行って本当によかったです。私も庭で夫が妻の写真を「俺を見て、俺を見て」(でしたっけ?)と言いながらバシバシ撮るシーンでもう涙が止まらなくて・・・。その後はずーっと泣きながら見ていました。本当にヌートリアさんが書いているとおり、映画ならではのうまい作りで、役者さんの演技もいうことなし。特に主役の二人は最高でした。
とにかく、今回はこんないい映画を見逃さずにすんで、ヌートリアさんに感謝感謝です。
これからも、どんどん載せてくださいね。よろしくお願いします。
ところが僕が尊敬する映画御仁のブログを見ていると、何と絶賛されています。
これは見ないといけないと、即映画館に行ったのです。
いい映画って導入部から観客を捕らえます。そのまま一気でしたね。
行定監督の映画は「遠くの空に消えた」は未見ですが、「春の雪」「世界の中心で、愛をさけぶ」などは結構良かったです。今回は本当に作りたい映画を作ったんでしょうね。
それはそうと、こんなつたないブログを見ていただいていたなんて、恐縮します。コメントも年に何度かしかいただかないので誰も見ていないものだと思っていました。何か励みになります。映画を見ていて良かったです。
それでは、また。
すると、わぁ、なんと、激賞されていますね。確かに喪失感の表現は素晴らしかったと思います。だも涙腺が弱い筈の私ですのに、涙が出ることはなかったです。一緒に鑑賞した妻は、女性の眼から観ていますから同様でした。でも男性同士でも受け取り方に差異があるのは、個人個人の感覚の差なんでしょうか?。残念ながら、私は、あのED亭主に同情が湧きませんでした。
なお、私が選んだ行定勲の最高作品は、「クローズド・ノート」です。逆に、これには泣かされました。どうやら行定勲監督は、涙腺を刺激させる特技を持っているようです。それがどの作品かは、各人で異なるでしょうけど。
以上、自分の心に素直な感想ですので、くれぐれも、お気を悪くなさらないようお願いします。
なお、映画村のバナー、3箇所ともクリックさせていただきました。
これにて失礼します。
では、また。