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私の、息子 (2013/ルーマニア)(カリン・ペーター・ネッツァー) 80点

2014-07-12 10:28:41 | 映画遍歴

見たくないものを延々と見せつけられ何度も映画館を出てみようかと思い続けた映画もまた久しぶり。それはしかしなんとその感覚は最後の最後まで続くのだ、、。

事故で人を殺しておきながら、亡くなった人には全く哀悼の気持もないまま、この情けない息子と、今まで挫折したことのないような貪欲ママゴンは時速160キロで人生の高速道路を闊歩する。

けれど息子は最後には自分の意志を持ち人間としてやっと自分自身に立ち向かおうとする。その音声のない車から見える息子と被害者の父親とのショットの素晴らしさ。そのときわれわれ観客も心の葛藤から解放され、乾いた心に一陣の清々しい風が吹く。

人間として30数年を過ぎてやっと解放された男。そして同じく初めて人間の生の姿を息子を通じて見た母親。そこには心を激しく動かされない観客は一人としていない。全員の観客が同時に同じときを共有することの至福。これぞ映画なんだろうなあ。

延々と不快さが蔓延していたからこそ、その最後のカタルシスはかけがえのないものになる。秀作。その一言。


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