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武士の家計簿 (2010/日)(森田芳光)  80点

2011-01-01 21:38:32 | 映画遍歴
いやあ、特に読後感をあまり書くことがないというジレンマに陥った珍しい作品でありながら、実に秀作でありました。

書くことがないというのは話が淡々とただ家計簿の話だったからです。経理は地味だが、実は一番重要であり、要職であり、戦略的にもなる部署だといわれるが、それを絵解きのように2時間強映像で説明されても本当は面白くないのである。

しかし、この映画は面白いのである。本当は面白くない話をこれだけウイットに富む話に変貌させ、人をしんみりと感動させるのは何か。これがこの映画の大きな謎であります。

それは目立たないけれどやはり映像のカット、余韻、色使い、いわゆる職人的な技巧だと思われます。そうこの映画には日本映画の伝統的な粋が骨格として存在します。さらに職人的な演技指導、演技力の発揮。とてもいい感覚がこのつまらない退屈な話を2時間強とてもいい空間に提供します。まるで麻薬のようなものです。

そして通常こういう映画は映画館を出るとすぐ印象が途絶えるのですが、この映画に関してはそういうことはありません。いつまでも明瞭で、時間の経過をたどっても忘却するということはないでしょう。やはり実力作です。【森田芳光】、会心の出来でしょう。これぞ秀作だと思います。

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