シュレンドルフだからドイツ語の映画かなと思ったらフランス語。しかもナチスによるフランス人レジスタンスの大量処刑の話である。もちろんドイツ将校も出ては来るが、シュレンドルフの大きな度量を見た思いがする。
映画の出来としては、かの「ブリキの太鼓」の芸術性を求めるのは愚の骨頂であろうが、芸術より歴史の真実に重きを置くシュレンドルフの心意気が全編にわたって伝わってくる。
27人と為政者の4日間の出来事をリアリズム手法で映画化することも可能だったはずだが、彼はそれを避けた。何と登場人物すべてに同等の描写を行っている。27人のそれぞれの人生を映画では深く語らないために、処刑に臨む彼らの人生像がどちらかというと希薄なのである。(ひょっとしたらヨーロッパでは有名な事件だからそれでいいのかもしれないが、、)
アンジェイ・ワイダも初期の作品に較べると最近の作品では、これだけは告げておきたいという戦争事実ものが目立ってきてはいるが、それでもみずみずしい作品も一方では精力的に作ってはいる。彼の場合は事件ものでは、被害者意識が強いことから、もっと痛烈に圧制者の事実を描きこむ。当然作品は質的にも高くなる。
そういう意味ではドイツ人たるシュレンドルフがこの作品を描くということにこの作品の意味はある、というとちょっと言い過ぎか。(相変わらずいやな性格だね。) それに尽きるのではないか。
でも後々残る作品であることは間違いなく、戦争の愚弄さを訴えている感動作だと思います。
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