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加藤健一事務所「八月のラブソング」(作 アルブーゾフ・演出 鵜山仁 於本多劇場) 80点

2013-03-24 12:53:02 | 演劇遍歴

冒頭の諸注意のあと、この舞台がほろ苦い物語であると告げられる。年老いた二人の老いらくの恋であることは観客は知っているので、なるほど悲恋なんだなあと脳裏に受け止める。

8月の一月ほどの恋のエピソードが時間を追って区切られ、そのつど舞台の設定も違える至れり尽くせりの舞台づくり。甘美な世界である。セリフも発声もほぼ完成度が高く、気持も十分伝わってくる。

戸田恵子が容貌も美しく、老いらくの恋とは到底思えないほどだ。でもそれは気にならず、これでいい。加藤健一も老人ではあるが、まだまだ老いてはいない容貌で、さすがうまい演技。ふたり、全くケチのつけようがない。

そして舞台は一気に夏の終わり。二人の恋愛の終わりに向かう。(と思っていた)

しかし、思わぬ最後が僕らを待っていた。それはそれでいい終わりだが、それじゃなんでほろ苦い恋と前触れしたのか。やはり劇の前ではストーリーに触れない方がいいのではなかろうか。珠玉のような、まさに全編これぞポエムと言える演劇であったからこそ、その当惑に少々苦しむことになる。

 


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