冒頭の地下鉄での強盗シーンが強烈な印象を残す。ほとんどセリフはなく、映像だけでそのスリルと恐怖を演出する手腕は鋭いと思った。その5分間が過ぎると、後は普通のハートウォーミング映画に早変わり。
父と息子、父と娘の相容れない断絶、でもそれは人類普遍の、古代から悩める心の葛藤でもあるのだ。そこにちらりと女児のいじめをトッピングに取り入れ現代風にアレンジしているが、家族、特に血縁の問題は血が濃いだけにわだかまりも激しい。
しかし、そこはこの映画、意外とすっきり解決篇に向かうべく物語たる努力を放棄している感もなくはない。主人公の若者たちの和解、雪解けはあっけなく早く来る。この辺りは少々物足りない感もすれど、了解の範囲。
ところがラスト、こういう手に出るのか、と僕は少々唖然。そうなんだよね。題名からすると、9・11がテーマなんだよね。日本人たる僕はこれを完全に失念していあ。よく考えるとあれから10年。僕たちはもうそろそろ彼らのことを忘れ去ろうとしている。だからこそ、この映画の意味が明確になる。リメンバー・ミー。忘れてはいけないのだ。
と、すると逆に冒頭の母親が女児の前で殺害されるショッキングなシーンの意味が強すぎる気もしないではない。ラストとの比較上強すぎてはいないか。
【ロバート・パティンソン】、【ピアース・ブロスナン】の配役は意外といい情感を出している。安心できるいい演技だ。 最近の映画ではこの地味さは心に響き、逆に加点対象になりました。
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