期待していたわけじゃないが、予告編から見なければと思わせた映画の一本。そりゃあ、停戦が決まってからあの12時間は極限状態の人間をズタズタにしています。
ただ戦争映画として、いろんなエピソードもあり、主役のシン・ハギュンが密偵だったりするものだから 、重層的な展開になるのかと思っていたらそれは肩透かし。だいたいチャン・フンの作品、今までの2作も意外とキレが良くない。換言すれば視点が見えない、というかテーマが、彼の言いたいものがはっきり僕に伝わらないきらいがある。
恐らくこの映画は停戦が決まっている中での12時間の意味を問うものであるはずなのだが、それまでがかなり長い。キタとミナミの親交とでもいうべきあの洞穴は結構面白かったけれど、しかしスリリングでもなければユートピアっぽくもない。ごく普通のエピソードとして描かれるのみ。
せめて密偵であるべきシン・ハギュンがストーリーとしてあっと驚く展開を見せてくれるかなあと期待していたら、彼はただの進行役に過ぎないし、全体に平板な作りである。
あっと驚く女性狙撃手も「シンレッドライン」でもうこの手は使ってるし、ましてや12時間前の敵味方合わせての涙の唄合戦も日本映画で古く見たような記憶も、、。
意外と、涙一つ出づることのない韓国映画でございました。これは僕にとってはかなり珍しい。ただチャン・フンが僕に合わないだけなのかもしれないが。
でも題材は半島の人たちにとっては一人一人、どの光景をもってしても身に沁みる映像だと思われます。ましてや12時間の激闘のなれの果てはとても正視できないものだと思われます。何のためにこの戦争はあるのかという問いも不明のまま死んでいった人たち。今でもこの戦争は終戦していなく停戦状態だということも僕たちは常に認識すべきです。
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