奈良ゆっくり一日旅（5/1)

連休、今年はどこか遠くへ行こうかなあとも思ったが、考えたら普通のサラリーマンのごとく土曜日曜だけが休みでない我輩、混み合うときに行く必要もあるまいと朝から普通に奈良へ向かう。

奈良は結構行っているので特に目新しい感覚はない。とりあえず近鉄奈良駅に降りる。いつもはそのまま奈良公園に向かうのだが、今日は駅前でレンタサイクリングを。そうすることによって自ずと行動範囲も広がるのではないかという淡い期待がどこかに、、。

いつも行く国立博物館は後回しにして、今回はまず依水園へ。あまり聞いたことがない名所だがしばらく工事をしていて今日からオープンだとか。なんだか知らないが入ってみる。寺というより庭園である。前園と後園とに分かれており、それぞれ景観が素晴らしい。若草山、春日山も見渡せる。池も素晴らしい。期待していた美術館は結構小さかったが、与謝蕪村屏風も展示してあり圧巻。

自転車なので結構ラクチン。足も疲れない。次は道なりに東大寺戒壇院へ。ここにはかの有名な国宝の「四天王立像」がある。持国天、多聞天、広目天、増長天である。何回も見たがやはりこのお堂で見る立像は最高だ。さらに東に向かっていくと何やら人が多くなってくる。大仏殿に近くなっているのだろう、修学旅行生、外人などが目立つ。ここらで自転車を駐車し、僕は三月堂に向かって歩く。

ところが三月堂は現在工事中だとか。東大寺ミュージアムで別途仏像は展示中。何か、お堂の中で仏像を見たいんだよね。ここで昼食タイム。これからどうしようか考えていたら、ふといつも行ったことのない般若寺に行ってみることにした。歩くと結構遠い。しかし今日はサイクリング。全然問題ない。レストランで道順を聞き早速自転車へ。

西へずっと走り国道にぶつかったところから一挙北へ。途中から坂がきつく汗だくになる。そのうち右側に有名な鐘楼が見えてきた。入口は駐車場もあり立派だが、拝観の入口は質素。人の良さそうなおばさんがいる。入って見ると結構小さい寺だ。本堂も暗く狭くかなり時代から置かれている感じもする。飛鳥時代に建立された寺らしいがかなりの曲折を経た感じだ。

堂内は草花でいっぱい。今コスモスが咲き始めている。満開になったら綺麗だなあと思っていたら、ここはコスモスで有名な花の寺らしい。帰ろうとするとコスモスの苗が売られていた。しっかりとした苗で大阪まで持って帰るのに躊躇したが３つほど買い求めた。

あれほど来るとき大変だった道も帰りは下りでスイスイと自転車は走る。あっという間に奈良公園へ。そうするといつも行く興福寺国宝館へ。今は改装されて常に満員だとか聞く。今日はどうだろうか、、。

入ってとても麗しい美術館になっていることに気づく。壁の色もちょっと赤っぽく、今まで見てきた塑像たちも印象がずいぶん違う。ガラスに入っていた阿修羅が外に飛び出した。とはいってもガラスケースに入っていたこと自体僕には不思議。昔は今のようにむき出しだったはず。けれどそのバックの壁の色のせいか、みんなすごく綺麗に映えている。山田寺の仏頭でさえ冴え渡る美しさ。ましてや阿修羅の凄みを持った美しさは言うべき言葉を持たない。

でも本当は僕の一番好きなのは無着、世親像なのである。昔は国宝館にいつもいたのに最近は北円堂に移っているらしい。また別の機会に見ることにしよう。もっとあちこち寄る予定だったが、もう午後３時。そろそろ帰路の時間だ。

自転車を返し、近鉄に乗り無事大阪へ。なんともぶらりぶらりの初夏の奈良の旅だった。

家に帰るとベランダのバラが今年も花をやっと咲かせてくれた。いつもながら一番花は美しい。春から夏へと季節は向かうが、園芸は今からである。