時代設定が最初よく分からず戦後(どの戦争?)のどさくさかなあとも思ったが、出て来る調度品から現代であることを知る。旧ソ連からポーランドへの逃避行なんだよね。逆だったら分かるような気もしたけれど、旧ソ連がこんなにひどい状況とは、、。
この映画にあまり関係ないんだけれど、駅構内にこれほど浮浪者がはびこる国があるっというのも驚くね。地域的にはベルラーシ辺りか。老人の誘いを振り切り、また若き新婚者から施しを受け、彼らの脱出行が始まる。
でも、首尾よくポーランドに到着するも、誰かから警察に行くとその国の国民になれると教えられたのだろうか、出頭するも結局は強制送還されてしまう。
そんなお話なんだが、かの名作「禁じられた遊び」のような、両親を爆撃で殺戮され十字架遊びをするいたたけな少女という強い反戦思想もない。その3人の、浮浪児に至る過程も観客に示されないため、脱出行がまるで(ちょっと不謹慎だが)ピクニック気分にも思えたり、そして国境越えなのに道中のスリル、悲壮感が全く感じられないのだ。
恐らくケンジェジャフスカは社会映画なんかまるで撮る気がなかったからそうなるのだろうけれど、映画としてのダイナミズムに欠けているような気がする。この映画を見てこの現実に目をそむけたいとか、そういう切迫感がまるで生じて来ないのだ。
こちとら、それほど余裕があるわけじゃないんだよね。そりゃあ女性で泣いていた人はわんさいたけれど、自分に降りかかってくる何かがほとんど感じられなかった映画です。
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