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ヴェニスの商人 (2004/米=伊=ルクセンブルク=英)(マイケル・ラドフォード)

2005-11-18 23:43:13 | 映画遍歴
何か中世の美術画を見ているような錯覚さえ覚える風景、衣装、ベニス、色彩、、。1級の作品であることのすべてがここにあります。
原作は覚えていないが、シャイロックって悪役じゃなかったっけ?アル・パチーノの演技が完璧に近いほどすごいので、人間の持つ民族の本源的な悲壮感まで感じてしまう。
まあ、でも2組の恋愛劇も楽しいし、かなりこなれたコメディーだったんだなあと分かる。
声楽も全篇美しいし、映画としても本当にすばらしい出来だ。
でも、映画の出来と自分の心はまた別物であってどうも僕の心に触れるものがなかったのである。
まさかシェイクスピアがユダヤ人の悲しみを書こうと思っているわけではないだろうし、映画的高揚感はあるも、この映画から自分自身何かを得たという映画的伝達が皆無なのだ。
例えばモネの「睡蓮」を見てすばらしいとは思っても、そこから自分自身の人生を感じ取る人は少ないだろう。むしろロートレックの街角のポスターに自分を投影させる人は多いのではないだろうか。
でもこの映画は超有名なシェイクスピアの戯曲を映画化することに意義があるのだろう。
その意味ではすばらしい秀作だろうと思う。
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