今までの劇と180度違うような熱を帯びた力作だ。とにかく架空とはいえ、人間を創造したといわれる神の存在を、逆転させて、人間が神を製作するという突飛なハナシなのであります。
そういえば、舞台の周囲、床、上部空間には古新聞紙が一面に漂っている、、。紙も神であり、紙一枚で神に仕立てられるという男のハナシである。
今までの劇とは違い、設定は、遠い虚構の国のおとぎ話のようでもあるが、決して寓話ではない。それほど前田の思い込みは強い。市井の、普通の人間が神として昇華(実質的には死を意味する)するまでの不思議な話である。
切羽詰まったような閉塞感もそのうち感じられて、不気味な鐘の単一な音が観客の胸を締め付けてゆく。だんだん怖くなってきます。
いやあ、迫力十分でしたね。前田氏はそれまでの劇をイメチェンした感じでもあります。まさに熱を帯びておりました。今までのいとおしいような柔らかさは今回消滅していたように思えます。
これは前田氏の新たな挑戦なのか。そして飛翔への準備なのか?次回がますます気になる力作であります。
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