僕にとっては初めての劇団だけど、名前は知っていた。中川氏も対談等では見知っていた。前作も(見てはいないが)難しい新左翼劇だったし、期待するところ大であった。
主人公はケースワーカという立派な仕事をする非正規雇用の男性である。実際舞台では、ケースワーカーの業務内容を見せているが、あんな高度な仕事を非正規の人間にさせているのだろうか、非正規雇用の人間には事務ワークぐらいしかさせていないのではないか、なんてことも考えてしまう。
そんなことはどうでもいい。
彼が手掛ける様々なケースワークが劇として演じられるが、僕には彼らの(劇として)、何が問題なのか分からない。実際この現代社会でそれらの事象は当然存在しており、想像することはたやすいと思う。みんな、レベル以下の生活をしている人たちは、僕もよく知っている。
それをケースワーカーの目で、述べられる。それは一体全体何なんだろう、と思うのである。それがどうしたっていうんだろう。
主人公のケースワーカーも、パチンコ依存症で実際は仕事をできなくなる。そして家族もバラバラになってしまう。ラストにはかすかな希望の光が多少差し込む下りにはなってはいるが、それも想定内の話である。
で、中川は何を観客に伝えたかったのだろうか、、。僕にはそれが分からない。
まさか、わざわざ劇で憲法25条のことを啓蒙したいわけではなかろう。ギャンブル依存症の弊害をキャンペーンしたかったわけではなかろう。(だいたい僕はギャンブルやアルコール依存症なりの、人間の欲望に関する本能的なことについては、簡単に述べてほしくない気持ちも一方ではあります)
最後まで何が何だか分からない劇でありました。僕にとっては珍しい経験です。
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