
前作が力作ぞろいのコント集で大いに注目させた実力劇団の公演。今回はガラッと変わってふんわりと人の心の隙間を和やかに温めてくれる劇である。ホントに大好きな劇団である。
いつもクリスマスが近づいて、サンタさんのことを考えることなんて大人になってもう云十年を過ごしている吾輩には考えられないことだが、この劇はまさにそのことを突き詰める。サンタさんが本当に存在しているのだ!
本当のサンタさんがいるなんてこと、普通大人になった人は考えつくものだろうか、、。
この物語はそこから始まる。それが実にいい。脚本の春海るりさんの、実に素朴で、純朴な心根にまず敬意を表したい。素晴らしい。
6人の登場人物である。クリスマスイブのとあるカフェ。あと2時間で今年のイブも終わる。そんな時、突然サンタが強盗を企てる、、。
コメディ風な演出だけど、実は現代という現実に生きている人たち、すなわち我々現代人は心にぽっかり開いた何かを埋めようといつも何かを求めている。そんな3組のカップルに、現代のサンタさんが現れ何かをみんなに届けてくれる。
6人がみんな演技達者で安心してこの劇に集中できる。冒頭のサンタ強盗の突入劇も何やらふわっと優しく楽しめる、唐突なシーンなのだが、すぐ違和感もなくなり、観客を包み込んでゆく。
いつもイブで置き去りにされるカップルの愛の成就もなかなかのものだったが、途中、ちょっと置き去りにされたかのようだった占いに凝った女性とサンタ強盗の、あれれという展開も、ラスト、とてもいい間合いでいい味わいを出している。何だかほろりとさせられちゃったよ。よかったデス!
ただ、海外で仕事をしたいという女性の離婚劇はなんだか、ちょっと現実味がなく、ちょっと浮いた感じはしたが、、。(旦那が気の毒すぎますよね。熊田洋司さんだから、暗くはならないが、、。)
と、クリスマスを間近に控えたほんのりやさしいハートウォーミング劇でした。切り口も新鮮で後味もかなり良かったです。
入った時に落花生を、また劇団員さんからのクリスマスカードも頂いた。なのに最後に抽選で、クリスマスプレゼントまでサンタさんからいただいた僕。今年はひょっとしたらいい年だったような気もして来ました。
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