さすが年間映画製作数が生半可でないインドの映画です。映像カットも、音響も、音楽も、演出も皆それぞれ一流である。安心して見られる。ラストに至るまでの主人公の心情もじわじわ分かる構成となっている。
でもねえ、それがあまりに整然とし過ぎたせいだろうか、子供の時のあの原体験を克服する一人の青年の人生を垣間見るとき、何故か自分自身、定石通りに感動する状態にならないのを訝しがる。
そうなんだ、あのラストで明かされる事実は映像でところどころ描写されているので、それほど思いがけないものではないのだ。
恐らくインドではかなり著名な人であるから、この話の内容はいやでもみんな知っていることに違いない。だから製作者にとっては、敢えて劇映画的な感動篇をしつらう必要はなく、淡々と一人の男の生きざまを描いて行けばいいのだろう。
でも、映画と向き合うのは自分自身である。良作だとは思うが、僕の心に響かなかったのは事実であります。(ただ僕が無感情なだけなのかもしれないけれどね)
いい映画だけど僕にとっては並の作品です。
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