良質の演劇を見た感がするなあ。題材からそう思うのか、しかし昭和という時代性を強く感じる作品でもある。
今まで随分大竹野原作の劇を見てきたが、この作品が一番洗練されていて、私小説っぽいイメージを持つ。いつもの暗さ、陰鬱なユーモアがあまり感じられない。この感覚はすこぶる好きだ。
演出が素直で、敢えて丁寧に家族の心をテーマに、描いているからだろうなあと思う。いつもの大竹野作品はややもすれば漫画チックになるのだが、今回は静謐で、意外と普通の作家の精神を、光と影を混ぜて鋭く描いている。
彼の人生は我等市井の人間にも十分通じるものがあり、親近感がある。いい演劇だった。
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