こういう作品はテーマにとらわれ過ぎて(印象が一点に集中しそうで)映画としてのコメントを書きづらい気がする。そう、やはりこの作品はラストにすべてがあるように思う。
50前にもなって生活を母に頼る情けない男である。今までどういう生活をしていたのか明確ではないが、要するに年齢は経っていても実は幼稚なコドモである。こんな子供を人生の最後に見なければならない母親もまた不幸である。そんな風に映画を見ていたが、、。
でもそれもまた人生なのである。母親はカウンセラーから「あなたは幸せでしたか?」と聞かれたとき「人生は人生よ」と言ってのける。幸せかどうかといういうつまらない括りで語られる人生なんて存在しないと思う。人それぞれ人生の色はあるだろうが、「一人で生れ一人で死んでゆく」それを避けられないのが人生の真実なのだ。
そして女は人生の最後に尊厳死のような死を選ぶ。でも僕はまるで自殺のように捉えてしまった。自死というか、そんな感じだ。病気に蝕まれ息もできなくなり最後に自死を選ぶといった印象ではなかった。映像からはまだシャキッとした肉体と精神力を有した女性が自死するイメージが漂った。
確かにこういうテーマの映画は今まであまり見たことがなかった。そういう意味でもタイムリーな現代映画ではありますネ。しばらく忘れない映画だと思います。
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