セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 94本、 演劇 72本

無名劇団「恋人がビッグフット」(作・みずしまみほこ 演出・島原夏海)(於・ウィングフィールド) 80点

2016-01-18 21:05:30 | 演劇遍歴
金魚鉢に一匹の金魚がいる。金魚とか水族館の魚たちはみんなそんなところに住んでいるが、実際は楽しいのだろうか、どう考え、何を感じて生きているのだろう。そんなセリフがあった、、。この演劇では4,5の挿話が用意されている。

中学生の男の子。親の言うままに勉強ばかりさせられて、金魚のごとく窒息しかけている。この金魚は可哀想だからって川に放すと、死んでしまうという。捨てようと思ったが、家に持って帰る。

金魚鉢を通じて知り合った大人の女性はバイトをしながらミスユニバースを目指している。純真な、今時ない、快活ないい女性である。中学生に少なからず影響を与える。

4人のOLたち。結婚観はそれぞれ違う。意外と古風な人が多い。しかし、OLの本音が聞かされて興味深い。現実的である。

次は極めて切実で重い挿話。観覧車のふたり。そろそろ30になるかという微妙な年齢。付き合って6年。男は演劇に携わっているので、定職を持てない。演劇の夢は捨てられない。

演劇をやっている人たちが卑近な問題を観客に提示する。いや、自分に突きつけている。何かを創造するという原初的なことと生活の問題。

女は今日プロポーズがなかったら別れようと思っている。指輪と思ったプレゼントはピアスだった、、。別れを切り出す女。
観覧車の一巡だけでは結論はつけられない。男はもう一回観覧車に乗ろうと女に告げる、、。

中学生から30近い年齢になっても自分の生きる地点、将来は見えない。でもそれがすなわち青春というものなのだろう。 人生って、生きている間は、揺れる葦のごとく安定することはないのだ。外見には風に揺れて心地よさそうだが、、。

この劇は、彼らの等身大の生きる悩みを吐露した、実に真面目な演劇であった。具象的過ぎて通常の演劇とはト-ンが違うが、みんな、悩みをストレートに吐露し、潔い。素直でいい。

あの主役たる中学生の男の子は本当に中学2年生だと後で言っていた。この清新さはこの劇団の特色なのかもしれない。若い時こそうんと悩め!

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