【ウォンビン】ファンのための映画であることは間違いないだろう。前半。顔を覆う髪の毛で顔を隠す。表情を隠しているのではない。顔を見せないことでファンをいらつかせているのだ。そんなこと関係ない男どもはちょいいらつく。
前半のもう一つの要素は【ウォンビン】の極端な寡黙ぶり。相変わらず女性ファンを意識している。けれど意外とこの映画、暴力シーンが激しく、韓流を求めて見に来た女性は大驚きだろう。ざまあみろ、と僕はほくそ笑む。しかし女性は意外と引いてはいない。
そして後半いよいよ【ウォンビン】、闘うべき時が来たれり。髪の毛をバリカンですべて刈り落とす。(よく見るとザンバラじゃないね。きれいに散髪した跡があった。)顔が見えなかった【ウォンビン】、ここでその颯爽とした顔をお披露目。女性ファンのため息が聞こえそうな厭な(?)演出ぶり。
そして半端じゃない小気味いいバイオレンス。その静と動の逆転ぶりはこの映画のよく練られた計算にこそ成功のカギがあった。なかなかのアクション。
これは何といっても韓国版『レオン』だ。この題材が作品の基盤となりまるで香港ノワールを感じさせる無法ヤクザと荒っぽい警察をごちゃ混ぜにして、いよいよ物語は昇り詰めていく。
一方、演出はと言うと、あらゆるシーンでのディーテイルが念入りでこの映画の質をかなり上げている。見るものを飽きさせることなく一気ラストにたどりつくその才覚は大したものだ。
しかし、最後の、あの【ウォンビン】が警察に懇願した少女との再会シーンは何なんだ。アジョシ(おじさん)と少女を取り囲んでみんな固唾を飲んで見つめているんだ。恥ずかしくないのか。
そっと抱擁する【ウォンビン】の、安堵する表情をストップモーションにしカメラはパンする。ああ、おじさんは恥ずかしい。むずがゆい。まさに冒頭で言ったように【ウォンビン】ファンのための映画であることは間違いない。こんなことをしてもいいのか!(いいよね)
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